【頑固オヤジのクラブ工房】Vol.141 クラブ本数を減らすと上手くなる? セッティングのポイント
ILLUST/Kochi Hajime
東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回のお悩みはクラブ本数を減らす際の注意点について。
Q.本数を減らして上達したい!
合理的なチューンはある?
クラブの本数を減らすと、逆にスコアアップできるという雑誌記事を読みました。ドライバー、パター、ウェッジ以外の7本ぐらいで打ち分けしやすいロフトチューンとか、ありませんか?(47歳・HC12・会社員)
14本もあると判断ミスが増す?
ゴールデンウィーク、ウチの常連さんたちは緊急事態宣言でコースには行けなかったみたいだな。その代わり、近場の練習場には結構通ってたらしいけど。
いい天気だったのに、なんかもったいねぇよな。まあ、夏以降でもコンペとか気軽にできるようになればいいけどな。
元々、コースなら屋外なんだし“密”にならないから、同じ県内のゴルフ場ならプレーしている人は多いと思うんだけどね。
「本数、減らそうと思うんですけど、オヤジさん」
輸入雑貨関係の会社の課長さんなんだが、今はリモートで自宅勤務。ゴールデンウィークも他県移動は会社で禁止されていて、自宅でくすぶってたらしい。
「古いゴルフ雑誌を読み返してたら、14本から10本に減らしてシングル入りした、という記事があって。ちょっと伸び悩み解消に、試してみようかな、と」
「番手選びとか状況判断とか、迷わなくなってプレーのリズムとか“質”が上がるんじゃないかな、いいと思うよ」
「で、ドライバー、SW、パターは外さないとして、残り7本ぐらいで“飛距離の階段”とか”状況別の対応”とかできるようにしたいんですけど……ロフトチューンとか必要な気がして」
ドライバーを抜く、なんて荒技もあるけど、まあその3本は残しておきたいよな。あと、アプローチで多用する番手も。奴さんならAWかな、すると残りは6本か。
「2打目の長打用に、ラフでも打てるロフト18度ぐらいの5Wを入れるとして、残り5本。UT1本とアイアン4本なら、ロフトの“味付け”が利きそうだな」
「15ヤード刻み」を目安にしてみる
まず、アイアン4本の“飛距離の階段”を考えてみる。仮に7~9番、PWにしようか。
「10ヤード刻みだと、PWで110ヤード、7番で140ヤード。これじゃ5番ウッドとの間にUT1本じゃすまないよな」
「そうですね、5番ウッドで190以上は打てるイメージです」
「そこで、15ヤード刻みにする。110、125、140、155、てな感じかな。で、UTで175ぐらいならちょうどいいだろ?」
「ウン、そうですね」
さて、そうなるとアイアンのロフト調整だが、オススメは5、7番を寝かせて、9番を立てるやり方だな。
「8番、外すんですか?」
「ちょっと理屈を説明しようか。アイアンは7番と8番で顔が変わる。まあ、今どきのアイアンはそうでもないけどな。で、お前さんは、PWはいじらずに110ヤード打てるから、9番で少しロフトを立てれば125ヤード打てるようになる。
でも、8番を立てすぎると、球が浮かなくなって止まらなくなる。だから、7番をそのままか、少し寝かして140ヤード、高さで止まるようにする。5番を寝かせるのも同じ理屈、てわけさ」
ちなみに、シャフトの長さを変えるアレンジもあるが、カネも手間もかかるから勧めないよ(笑)。
「なるほど……。5番と9番のチューンだけでいいわけですね」
「7番は様子見でもいいと思う。それより、UTを上手く選ぶことだろうな」
「今、使っているのはテーラーメイドのカチャカチャ機能付き2本で、ロフトを変えられます」
「だったら、長いほうのシャフトをロフトの大きいほうのヘッドに挿し替え。で、短く持って扱いやすいようにすると、打ち分けの幅が広がるはずだ」
「バランス、重すぎませんか?」
「だから、短く持つんだよ。フルショットせずに置きにいく、メリハリをつけるのが本数を減らすメリットのひとつだろ? 番手ごとの役割を明確にできると思うよ」
月刊ゴルフダイジェスト2021年7月号より