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あなたのクラブ、軽すぎませんか? フィッターが警鐘!「軽いものばかり振っていると、だんだん飛距離が落ちてきます」

軽くてやさしいクラブが増えている昨今アマチュアのクラブが「軽すぎる」傾向があると、多くの専門家が危惧する。クラブが軽すぎると何が問題なのか、そもそも適正重量とはどのくらいなのか、改めて“クラブの重量”について考える。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Takannori Miki ILLUST/Shinichi Hoshi THANKS/ゴルファーズラウンジ by tantanto

解説/今井正人

ツアーレップとして活躍し、現在は都内でゴルフ工房「ゴルファーズラウンジ by tantanto」を営むクラブフィッター

気づかないうちに
飛距離も落ちていく!

かつてアマチュアは、身の丈に合わないほど重くて硬い「オーバースペック」のクラブを使う人が多かった。市場ではトッププロが愛用するパーソナルモデルが人気で、それを買って「球が上がらない!」と言いながら頑張って使うのがカッコいい。そんな時代もあった。

しかしそれがいつの間にか逆転し、近年ではアマチュアの多くが軽すぎる「アンダースペック」の傾向にある。テクノロジーの進化で軽くて球が上がりやすく、つかまるクラブが作れるようになり、そこに女子プロ人気が拍車をかけたことで、アマチュアが「軽くてやさしいクラブ」を使う大転換が始まったのだ。この「クラブ軽すぎ問題」の危険性は多くの専門家が指摘する。長年ダンロップのツアーレップとしてトッププロのクラブをクラフティングし、現在は都内でゴルフ工房を営む今井正人さんもそのひとりだ。

「体感では、新規で来るお客さんの8割近くがアンダースペックという印象です。軽い=やさしいというイメージから重めのものを避ける傾向がありますし、購入時に試打して、軽いクラブのほうが飛距離のデータがよかったという人も多い。でもこれはかなり危険なことだと思います。自分の筋力や体力に対して軽すぎるクラブを使っていると、スウィングも安定しませんし、飛距離もどんどん落ちていく。これって案外知られていないんですよね」

モノを振るという行為においては、軽いモノのほうが速く振れるのは自明だ。しかしゴルフスウィングはただ棒を速く振ればいいわけではなく、再現性も必要だし、スウィングのエネルギーを効率よくボールに伝えることも重要。軽すぎるクラブではこういった点に問題が生じやすく、結果的に軌道が乱れたり飛ばないということが起こりやすいのだ。

「よくクラブを買い替えて飛距離が伸びたのに、2~3カ月でまた元に戻っちゃったなんて話を聞きますが、これは間違いなく“軽すぎ”です。最初は軽いクラブを速く振れて飛ぶのですが、体がその軽さに慣れるとすぐ元のスピードに戻ってしまう。さらに軽いものばかり振っていると“振る力”が衰えて、絶対的な飛距離が落ちていく。軽すぎるクラブはこの悪循環に陥りやすいんです」

これは、室内で試打した計測器のデータが重視されるようになったのも原因のひとつだろう。ヘッドスピードが速く一発の飛びが出たものが評価されやすく、再現性や安定性は軽視されやすくなっているのだ。

やはりクラブには“適正重量”というものがある。軽ければやさしいというわけではないのだ。

“軽すぎ”クラブを使い続けると飛距離がどんどん落ちていく!

軽いクラブは速く振れて一時的には飛距離が伸びやすいが、体が慣れてくると元のスピードに戻りがち。さらに、軽いものを使い続けると「振る力」が衰えて、飛距離はどんどん落ちていく

こんな人は軽すぎかも!
①トップのミスが多い
②縦の距離がばらつく
③アゲンスト、打ち上げに弱い
④買ったときには飛んだのにすぐに飛距離が戻る

軽すぎるクラブはトップのミスが出やすく、縦の距離もバラつきやすい。また球が“弱く”なりランは出るがキャリーが不足しがちで、アゲンスト時や打ち上げホールで飛ばない人も要注意

計測器ベースだと軽いほうが有利
弾道計測器の理論値ではヘッドスピードの重要性が高く、速く振れれば「いい数字」が出るが、それがコースでの有効な弾道や、再現性や長期的視点を担保するわけではない

>>自分に合うクラブの見つけ方をチェック

月刊ゴルフダイジェスト2026年1月号より