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【ミニドライバー完全解剖】<後編>「小さい・短い・重い」実は多くのアマチュアに合う可能性大!

何かと話題の「ミニドライバー」だが、どんな人に合うのか。また、打ちこなすには、どんなことに注意すればいいのか? クラブフィッターの小倉勇人氏に教えてもらった。

TEXT/Kosuke Suzki PHOTO/Hiroaki Arihara ILLUST/Takaaki Okuda THANKS/ユニオンGC

解説/小倉勇人

1978年生まれ。ゴルフ誌編集者からクラブフィッターに転身。「ユニオンゴルフクラブ」内でゴルフショップ「リルガレージ」を営む

>>前編はこちら

小さい・短い・重いが
ほどよく振りやすい

ドライバーよりも「飛ばさない」ために作られ、性能的にも「飛ばない」ことが明らかなミニドライバー。しかし一方で、アマチュアの間では「普通のドライバーよりも飛ばせる」「曲がらない」という評価もあって、市場で品薄になるほどの人気が出ている。これはなぜなのだろうか。千葉県八千代市のゴルフショップ「リルガレージ」店長で、自身もミニドライバー愛好家だという小倉勇人さんに聞いた。

「ミニドライバーの小さく、短く、重いという特徴が、大型ヘッドのドライバーが苦手なアマチュアにとってプラスに作用するケースが少なくないからだと思います。私自身、大慣性モーメントの大型ヘッドドライバーに振りにくさを感じていたなかで、ヘッドが小さく重心距離の短いミニドライバーが画期的に振りやすく感じたんです。クラブセットの中で異様に長く、異様に大きく、そして軽いというドライバーの特徴のせいで上手く打てない人にとってミニドライバーは振りやすく、相対的に結果がいいことが人気の理由だと思います」

小倉店長が接客しているなかでの体感では、アベレージゴルファーの8割近い人がいまどきのドライバーを上手く使いこなせておらず、ミニドライバーを振りやすいと感じる要因があるという。

なかでもシャフトが短いことは、飛距離面ではマイナスのはずだが、振り遅れてプッシュスライスが多発する人にとっては大きなメリット。また小さいヘッドは、大型ヘッドの慣性モーメントを扱いきれず、フェースを閉じきれないプッシュと一気に閉じてしまう引っかけの両方が出る人にとって非常に振りやすく、クラブの軽さによって手元が浮いてしまう人にとっても重さが上手く作用して当たりが厚くなる場合も多い。

「ミニドライバーを打ってみて、フェースのターンが心地いいと感じる人、フィニッシュのバランスがよくなった人は、マッチする可能性大です。もし一発の飛距離が落ちたとしても、ミスが減り、平均飛距離は確実にアップするはずですよ」

こんな人はミニドライバーが合う可能性大

タイプ①
普通のドライバーだとプッシュスライスが出がち

45インチを超える通常のドライバーの長さを扱いきれず、振り遅れてプッシュスライスが多い人は、ミニドラの短さが振りやすい。ミニドラを使うことでつかまった球が打てる可能性が高い

タイプ②
普通のドライバーだとプッシュと引っかけの両方が出る

大慣性モーメント、長い重心距離が苦手だと、インパクトまでにフェースが戻り切らないプッシュアウトと、一気に返ってしまっての引っかけの両方が出る。ミニドラなら打ち出し方向が安定する可能性大

タイプ③
普通のドライバーだと手元が浮きがち

アマチュア向けのドライバーは軽いモデルが多く、インパクトで手元が浮いてスライスやトップなどが出る人はその軽さが原因であるケースもある。ミニドラの重さがインパクトを安定させる可能性もある

「300 MINI」以来テーラーメイドの歴代ミニドラを愛用してきて、最新ミニドラ4機種もすべて所有している小倉店長に、各モデルの特徴とどんな人に合いやすいかを聞いた。


PXG
シークレットウェポン ミニドライバー(300cc)

「調整力重視」ならコレ

可変ウェイトがソールの前・後・トゥ・ヒール4カ所にあり、重心位置を好みに合わせて変えやすい。スピン量も少なく飛距離性能も高い

テーラーメイド
r7 QUAD ミニドライバー(305cc)

「コントロール重視」ならコレ

4モデルのなかでも中間的な性能で全体的なバランスがよく、コントロール性も高い。長さが43.75インチと他よりも少し長め

タイトリスト
GT280 ミニドライバー(280cc)

「FWっぽさが好き」ならコレ

ヘッドサイズが小さく一番FW的。つかまりすぎないが自分の意思で球をつかまえて打つこともできるので、技術のある人向け

キャロウェイ
エリート ミニドライバー(340cc)

「やさしく飛ばす」ならコレ

4モデルでもっともヘッドサイズが大きく、ドライバー的。直進性が高く曲げずにやさしく飛ばせるミニドラ入門モデル的存在

特別な振り方を
する必要はない

小倉店長は「ミニドライバーが合うアマチュアは多い」と言うが、いざ使うとなるとドライバー的に振るべきか、FWのようにスウィングすべきか、イマイチどう扱ったらいいかピンとこない人も多いだろう。小倉店長は「用途はドライバー。スウィングはFW」だと話す。

「私はミニドライバーの大きなメリットは、普通のドライバーと比べて3Wに近いことだと考えています。ウェッジから3Wまでの自然な流れの延長線上にあって、長さや大きさが極端ではない。だから特殊なスウィングをする必要はなく、『他の12本と同じように』振ることが使いこなすコツだと思います」

基本的にはティーショット専用と考え、低めにティーアップし、よほど得意な人以外は“直ドラ”はすすめないと小倉店長。また普通のドライバーの長さが苦手な人はさらに短く持ちたくなるかもしれないが、せっかく最初から短いのだから、むしろ目いっぱい長く持ち、ゆったり振ることが使いこなすコツとのこと。ロフトが選べるモデルは、基本的にはロフト多めのほうから打ってみるのがおすすめだそうです。

なお小倉店長は、自分のミニドライバーを45インチにして使っている。そうしたカスタムもアリなのか。

「私は大きいヘッドは苦手ですが、長さは苦にしないタイプなので、自分で工夫して45インチにカスタマイズしたところ、飛距離も出るようになって、普通のドライバーよりも飛んで曲がらなくなっています。マッチする人は多くないかもしれませんが、参考にしてみてください」

ミニドライバーの打ち方Q&A

Q. ドライバーのように振る? FWのように振る?
A. 大きい3Wだと思って振ってください

普通のドライバーのように長さや大きさが特異ではなく、他の12本のクラブの流れの延長線上にあるので、「ちょっと大きい3W」という感覚で、FWと同様のイメージでスウィングしたい。

Q. ティーアップの高さは?
A. クラウンからボールの頭が半分出る高さ
ヘッドが小さい分ティーアップは普通のドライバーよりも低めにしたい。ボールがクラウンから半分出るくらいがオススメだが、それより低く、FWでティーショットするときと同じくらいでもOK。

Q. 短く持つのはアリ?
A. 長く持ってゆったり振りましょう
普通のドライバーの長さが苦手な人は、さらに短く持ちたくなるかもしれないが、せっかく最初から短いのだからこれ以上短く持つメリットはない。目いっぱい長めに持ってゆっくりスウィングしよう。

Q. 直ドラはアリ?
A. ナシ!
低スピンのヘッドが多いので、球が浮きにくく、FWのようにフェアウェイから使いこなすにはかなりのヘッドスピードが必要。もともと直ドラが得意という人以外は、ティーショット専用と考えるべき。

Q. ロフト選びは?
A. 多めがオススメ

11度台と13度台のロフトを選べるモデルもあるが、もともとスピン量が少なめのモデルが多いので、ロフトは多いほうが安全。ヘッドスピードが45m/s未満の人は、まずは13度台のロフトから試そう。

月刊ゴルフダイジェスト2025年10月号より