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【クラブ駆け込み寺】Vol.8「60~80Yのウェッジショットが引っかかる。ライ角を調整すればいい?」

“頑固オヤジ”が勇退し、あとを継いだのが練習場で小さな工房を営む通称“アニキ”。今回は「60~80Yのウェッジショットで球が引っかかる」という相談が寄せられた。

ILLUST/Kochi Hajime

前回のお話はこちら

Q. アプローチの引っかけを防ぐ
チューンナップ法とは?


SWでの60ヤード前後のアプローチで、2ピン以上左に引っかかるミスがよく出ます。ライ角がアップライトすぎたりするんでしょうか。いい調整方法を教えてください。


加減するショットほどバウンスの影響大

ゴールデンウィーク、結構暑い日が続きましたけど、絶好のゴルフ日和もありましたよね。芝の具合ももう春先と違い、夏の仕上がりで。ラフも厳しさを増してくるようになると、増える相談はもっぱらウェッジです。

「80ヤード以内は大体56度のSWでアプローチするんですが、60ヤード前後でミスが多くて。花道からピンに向かって打つと、2ピン以上も左に飛んじゃうんです。ラフからだと、フェースを開いて打つせいか、そんなに引っかからないんですけどね。ライ角を少しフラットに調整するとか、したほうがいいですかね?」

元々小技を得意とするベテランの常連さん。昨年の暮れに新調したウェッジだそうで、フルショットや30ヤード以内では問題なく使いやすいとのこと。それだけに、50〜70ヤードで寄せワンを取れなくなっていることでストレスが溜まっているようでした。

「そいつはアレだな、バウンスが合ってねえんだと思うよ、オイラは」

ちょうど“頑固オヤジ”さんが顔を出す日で、相談に加わってくれました。

「ウェッジはソールで地面を叩いて寄せる道具だからな、ヘッドにスピードを乗せられない加減したショットほどソールの滑り具合、バウンスの跳ね具合が影響するんだよ」

「でも、60ヤードは結構しっかりターフを取るイメージで打っていますけど……」

「そうはいっても、お前さんアプローチが得意、てことは刃から鋭角に打ち込んでるわけじゃねえよな。バウンスから着地させてるんだよ」

「あ、だからヘッドの入り方とバウンスの跳ね具合で、フェース向きやヘッドの抜ける方向がやや左になるんですね。だとしたら、対処法はライ角調整ではないですね。打ち方で工夫するか、バウンスを少し削って整えるのがいいと思います」


バウンスの相性は打ち方で決まる

日本のフェアウェイは大抵高麗なので、ボールは沈みにくく、ウェッジもバウンスがしっかり利くもののほうが抜けは良くなります。

「私もそう思ってバウンス角の大きい56度のSWを使っているんです。フェースを開かなくても打ちやすいし」

「そこですね。ラフでは少し開いて使うし、ソールを跳ねさせるわけではないので引っかからないんですが、花道からは着地したバウンスが利いてフェースがかぶるんです」

「まあ、打ち方を変えるのはナンだから、ヒール寄りのバウンスの出っ張り具合を、ほんの少し削ればいいんじゃねえかな。な、アニキよ」

常連さん、少し考えた様子でうなずきました。

「ウン、それでいいと思うんですけど、削るとバランスとか軽くなりませんか?」

「いや、薄く削るだけなのでそんなには。2 〜3ミリ短く持ったぐらいの違いなので」

「そう、さわりがある部分をちょっと削るぐらいだからな。バウンスの真ん中から少し後ろの、少しヒール寄りをチョチョッとね」

ハーフショットやスリークォーターなどの加減するショットでは、ヘッドの入れ方は人それぞれ。プロでも個性が分かれる部分なので、ウェッジは多数のバウンス違いモデルが展開されています。

自分に合うバウンスの見つけ方としては、愛用ウェッジのソールを油性ペンで塗りつぶし、アイアンマットを叩いてみる。打ち方はもちろん加減ショットで。インクの取れ具合で、バウンスの接地状況を判断し、調整します。

「昔は裸地とかコンクリを、素振りでカンカン叩いてソールを削って自分のスウィングに馴染ませる、なんてプロもいたけどな」

「オヤジさん、今どきの若い人が真似すると手や指を痛めるから、絶対に勧めないでくださいね(笑)」

後日、常連さんから調整したSWでチップインした、との報告をいただきました。

※練習場では行わずマットを購入して行ってください

月刊ゴルフダイジェスト2024年7月号より