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今度の『SIM2』は“構造革命”。飛ぶのか、やさしいのか、本当の性能を解き明かす

ギアラボ
2021.04.02

PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/瑞陵GC

前作『SIM』の大ヒットの余韻も冷めやらぬなか『SIM2』が登場し、話題をさらっている。空力の次は“構造革命”。それにより、さらなる飛びとやさしさを身につけたという。構造・素材のスペシャリストの話と熟練プロの試打で真の性能を探った

「SIM2」にはレーシングカー
発想が宿っている

チタンとカーボンの複合ヘッドは今や珍しくないが、今回の『SIM2』はカーボン部分を増やし、さらにアルミのフレームをビルドイン。この多彩な異素材複合構造はレーシングカーに通じるとも言われている。そこで国内レーシング事業の先駆け的存在『無限』のスタッフにその優位性について聞いた。

株式会社 M-TEC
モータースポーツ事業部
田中洋克さん(左)
駒塚 守さん(右)
レーシングエンジンやパーツの設計から製造、評価・試験、実走まで、すべてを手がける無限。現在はスーパーフォーミュラ、スーパーGTに参戦中。またHonda車用“高性能化パーツ”の製造販売も行う企業としても有名

「マルチマテリアル構造は、レーシングカーでは以前より進んでいます。1周をいかに速く走るか、そのために必要な箇所に最適な素材を使う。性能を求めるうえで当然やるべきことです」(田中さん)

「レーシングカーは規定で“最低重量”が決まっています。そのなかで、車体をできるだけ軽く設計し、そこで生まれた余剰重量をタングステンなどのバラスト(重り)に変換して、車体の前後のバランスを適正化させるために使います。カーボンも様々な種類、アルミなどの金属も複数種使う、こういった点は、『SIM2』ドライバーと共通していますね」(駒塚さん)

また『SIM2』は、フェースとボディのチタン部分が一体成型。フェース裏に溶接箇所がないため、広範囲で優れた反発性能を有するという。そしてカーボンやアルミ部分との結合はすべて接着で行われている。

「溶接するとそこに熱がかかります。いわゆる“焼き”が入った状態で、部分的に硬くなるなど変質してしまうんです。溶接は個体差も生じやすいですから、品質を一定に保つ意味でも『SIM2』のチタン部分のように一体で成型されるほうが絶対に有利です」(駒塚さん)

「分解パーツも見ましたが、アルミの加工などかなり精密です。クラブの進化を改めて感じましたし、我々も良い刺激を受けました」(田中さん)

パーツを組み上げる感覚に男心をくすぐられる

<パーツ1> チタン
フェースとボディ前部を“一体型”で製作


フェース部分を裏から溶接することなくカップ型に一体成型。溶接箇所がないことで、フェースの広い範囲で高い反発が得られる。溶接のバリが出ないことで軽量化にもつながる

<パーツ2> カーボン
ソール全面がカーボン素材になった


クラウンの大部分とソール全面がカーボンになり、より多くの余剰重量が生み出される。重さをさらに最適な箇所に配分しやすくなったため、慣性モーメント(MOI)が向上した

<パーツ3> アルミ
新たにアルミのリングをヘッドのフレームに配置


比重の軽いアルミを外周に装着。剛性を維持しつつ軽量化が図れるため、ヘッド後方に大きな重量物を設置可能に。MOIを高めつつも低重心化するという相容れない関係性を両立


田中秀道が3モデルを徹底試打
「『SIM』よりはるかに球が上がりやすい

試打・解説/田中秀道
国内ツアー10勝。2002年にPGAツアーに参戦し5年間シードを保持するなど活躍。166cmの小柄な体から繰り出すビッグドライブと明るいキャラクターで欧米でも“追っかけ”ができるなど人気選手に

『SIM2』の構造革命は、もちろんドライバーの性能アップを目的としたことだが、実際にはどう進化したのか。試打を担当するのは田中秀道プロ。テーラーメイドの歴代ドライバーは、くまなく試している。

「すでに『SIM2』を調整していますが、直前まで使っていたのは、実は『SIMグローレ』なんです。前作の『SIM』も試しましたが、ちょっとハードに感じるところもあった。少し弱いスウィングをしてしまうと、ボールが上がりきらずにドロップ気味に早めに落ちてしまう。ランが出るという点ではいいんですけど」(田中プロ)

今回改めて『SIM2』を試打してどこに進化を感じたのか。

「球の上がりやすさが大きく変わりましたね。楽に上がって大きな放物線弾道で飛ばせる。じゃあスピンが増えるのかといえばまったくそんなことはなく、球の強さもあります」

試打を進めるうちに、田中プロにも新たな発見があった。

「僕には関係ないと思っていたので『MAX-D』は初打ちだったんですが意外にいい! 楽につかまって、でもつかまりすぎず安定する。体のキレを増して『SIM2』を使いたい気もしますが、現実的には『MAX』か『MAX-D』。どっちも捨てがたいですね」

この3タイプがあれば
誰でも強弾道が手に入る

テーラーメイド
SIM2

「前作の『SIM』と比べると一瞬食いつく感触がありつつ弾く感じもあるので、安心感があり楽に飛ばせる印象。3タイプのなかではより球の強さを求める人におすすめ」(田中プロ・以下同)

テーラーメイド
SIM2 MAX

「上の『SIM2』との差はわずか。だけどやはり『MAX』のほうがつかまる感じがあり、球もより高く上がりやすい。一番多くのゴルファーに合うのが『MAX』だと思います」

テーラーメイド
SIM2 MAX-D

「ヒール寄りの重心位置を感じてつかまりがいい。『MAX』でもつかまらない人はコレ。前作の『MAX-D』から格段の進歩を感じる。自分のなかでも『MAX-D』が急浮上です」

PGAツアーでは「MAX」の人気も高い!

前作同様、今回も『SIM2』へのスイッチが急速に進んでいるPGAツアー。使用状況を見ると『MAX』を選ぶ選手も目立ち、より寛容性を求めている傾向にあるようだ。

月刊ゴルフダイジェスト2021年4月号より