【クラブ駆け込み寺】Vol.4「3Wが上がらず、当たり損ねが多い。ロフトの多いモデルに買い替えたほうがいいでしょうか?」
“頑固オヤジ”が勇退し、あとを継いだのが練習場で小さな工房を営む通称“アニキ”。今回は「3番ウッドの当たりが悪い」という相談が寄せられた。
ILLUST/Kochi Hajime
Q. 3番ウッドが打ちやすくなる
買い替えか、チューン法はありますか?
3番ウッドの当たりが悪く、低いスライスや引っかけが出ます。ロフトの多いモデルとかに買い替えるか、球がつかまるチューンをするとかで改善できますか?
3番ウッドは本当に必要か?
新年明けましておめでとうございます。年末年始、なんだか暖かかったですね。例年よりも楽しい打ち初めができた人も多かったんじゃないでしょうか。
冬場は寒くてキャリーが出ない、と言いつつも、地面が硬くなってランが出やすいおかげで、そこそこトータル距離は出ます。問題は2打目以降。球のつかまり具合、上がりやすさで飛距離はかなり違ってきます。
「3番ウッドはグリーンに近づけるクラブだから、ライナーでもゴロでも、ランを稼げればいい、と思って使っていたんですが、冬は寒くて振り切れないせいか、当たり損ねがひどくて。ペチッとスライスしたり、ガツッと引っかけたり。加減すると全然飛ばない。そこで、考えたんですが、ロフトの多いモデルに買い替えるとか、チューンでつかまるようにするとかで、良くなると思うんですけど、どうですか?」
ゴルフを始めて2年目、毎週練習に来られる熱心な方ですが、ラウンドは月イチ程度とのことで、まだまだコースではミスが多いとのこと。
「まず、3番ウッド、やめてみませんか。5番ウッドのほうがやさしく“運べる”と思いますよ」
「それが、5番だと引っかけてしまって。これも使いにくいんですよ」
「だったら、5番ウッドをチューンしましょうよ、やさしく“運べる”クラブに」
3番ウッドはヘッド自体、飛ばしやすさを主眼に設計されているものが多く、上級者にはメリットがあっても、アベレージクラスにはどうチューンしてもなかなか打ちやすくならないんです。
その点、5番ウッドは飛距離重視タイプのモデルでも、ちょっとしたチューンでつかまりやすさ、上がりやすさをプラスすることができます。
5番に3番のシャフトを挿す
今回の相談者さんの5番ウッドは、ロフト角18度。フェースが少し左を向いている、やさしくつかまるタイプですが、引っかけやすいのはシャフトが少し硬すぎて、打ち急ぐのが原因のようでした。
「シャフトを3番ウッドの長さのものに替えましょう。それならしなりも感じやすく、ヘッドスピードも上がります。ヘッド自体のつかまりやすさも生きてくるでしょう」
「長くなると、ミート率が悪くなりませんか?」
「1インチ延びたぐらいでは変わりませんよ。それよりも、ロフト角が増えることで確実に打ちやすくなりますから」
2打目以降の番手は、まず上がりやすいことがやさしさの最大のポイント。
「地面から高く打ち上げるには、十分なロフト角が必要。FWなら18度、UTなら23度ぐらいないと、扱いにくくなります。昔、ロングアイアンが難しかったのも、レングスに対してロフト角が少なすぎたんですよ」
今どきの、ホーゼルにあるカチャカチャ機能でシャフトを取り外せるモデルなら、FWのシャフトを番手ごとに交換するのは簡単。ですが、相談者さんのは固定タイプだったので、シャフト交換チューンとなりました。
挿し替えの際、ホーゼルに対するシャフトの入り方に角度をつけることで、フェース向きやロフト角の調整もできます。カチャカチャ機能でも、向きを変えられますよね。
今回は、つかまりすぎを抑える意味で、やや右から入れました。ロフト角も1度減りましたが、OKでしょう。
長くする際の問題はヘッド重量。そのままでは振りにくくなるので、軽量化する必要があります。今回は、ヘッドにウェイトビスがあり、それを取り外すことができました。若干軽くなりすぎたので、後は試打しながら、鉛テープを貼って微調整。その後のラウンドでは、長尺5番ウッドの出来は上々だったそうです。
月刊ゴルフダイジェスト2024年3月号より