【頑固オヤジ】Vol.164「初心者の女性は男性用の重いパターでも問題ない?」
東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回は、これからゴルフを始める女性のクラブ選びに関するご相談。
ILLUST/Kochi Hajime
Q. 初心者用のパター選びで
使えそうなチューンは?
4月から社会人になった長女が、ゴルフを始めることに。最初は中古クラブ、でもパターだけは私のお古でいいかな、と考えました。でも、パターでも何か女性用に調整する必要、ありますか?(54歳・HC11・会社員)
注意すべきはロフトと重さ
3月の野球のWBC、面白かったよな。侍ジャパンが勝ったから、ていうより1試合ごとにどれもこれも盛り上がる内容だから良かったんだと思うよ。
ゴルフも先日のマスターズからメジャーが続くけど、同じようにゴルフ人気も盛り上がってくれるといいんだけどな。
「オヤジさん、今回も読者からの相談ですが、初心者向け、というか4月っぽい案件です」
「ウン? どんな相談?」
「就職した長女が、ゴルフを始めるとのこと。でも父親のクラブは男性用だから合うはずもないので、中古ショップで揃えようとしたらしいんですが、パターなら自分の“お古”でいいだろう、と」
まあ、初心者の練習用なら、男性用を短く持って使ってもいいんだけどね。女子だと、周りの目もあるから最初はきれいなバッグと一緒に、洒落たレディス用クラブも持たせてやりたい感じにはなるかな、父親なら(笑)。
「いいんじゃねえかな、パターは男女でスペック、変えなくてもいいと思うし。グリップを新品に替えてやるくらいでいいと思うよ」
「そこで相談者が気にしたのは、長さと重さ、らしいんです。“お古”はレングス34インチで、娘さんは身長158センチなので、少しカットしたほうがいいのか。その際、バランスが軽くなるのでヘッドに鉛を貼るべきか、とか」
やれやれ、考え過ぎだよ(笑)。
「まずは本人に持たせて、球を打たせてみる。で、振りにくそう、構えにくそうだったら、いじればいいんだよ。それより、まず確認するのはそのパターが重すぎないか、ロフトが立ちすぎていないか。この2点が肝心なんだ」
右手だけでもポンと打てる
「ロフトと重さ……。どうチェックしたらいいんですか?」
「ああ、もちろん初心者には無理だよな。ゴルフの先輩である父親が手伝ってやればいいんだけどね。この2点は、パター購入時には誰でもチェックしたほうがいいポイントなんだよ」
ヘッド形状とかサイトラインとかに気を取られがちだろうけど、距離感の出る振りやすさ、打球の安定した転がりは、結局はロフトと重さで決まる。
「まずロフトの見極め方。アドレスして左目だけで見て、フェース面がほんのわずか、見えるもの。全然見えないのは、ロフトが立ちすぎていて、出球がおかしくなるからダメ」
「具体的にロフト角3度以上、とかじゃないんですね」
「ソールの座り、シャフトの入り方とかで、ロフト角の製造誤差は1度くらいザラ。カタログスペックじゃなくて、実物で判断するしかない。で、よほど特殊な構え方でない限り、左目でフェース面が見えなけりゃ、おかしいんだよ」
「なるほど……。でも、重さは様々ありますよね。どれが振りやすいとは言えないんじゃないですか」
だから、注意してるんだよ。重いモノを加減して当てるような、悪いクセがつかないようにさ。
「利き手、まあ右手だな、それ1本で打ってみる。2メートルぐらいでいいよ。それがスムーズに打てるようなら及第点。振り上げがよれてまともに打てないようなら、重すぎる。両手で試打するからそういった感覚が鈍感になって、重いほうが安定する、とかおかしなことを言いだすようになるんだよ」
重すぎても、短く持てば打てるようになる。重さと長さの兼ね合いも、見えてくるはずなんだ。
「そうでした、その“お古”には『スーパーストローク』の太グリップが付いているそうなんですが、これは?」
「ああ、距離感を育てたかったら通常のグリップから始めるべきだね。ソフトすぎない、ピストル型なら問題ないよ」
月刊ゴルフダイジェスト2023年6月号より