テーラーメイドの新「TP5」「TP5x」ボールは何が進化した? ステルス2との相性は? 徹底試打!
ローリー・マキロイ、コリン・モリカワ、リッキー・ファウラー、そして世界ランク2位のネリー・コルダが選んだボール、テーラーメイドのTP5シリーズのユーザーがじわじわ増えている。誕生から7年、3代目となる新TP5と新TP5xの実力を追った。
PHOTO/Tomoya Nomura THANKS/千葉銀座カントリークラブ
2017年に初代TP5シリーズが誕生してから今年で7年。現在のニューTP5は3代目。世界のツアーでは、ローリー・マキロイがTP5x、コリン・モリカワがTP5、トミー・フリートウッドとリッキー・ファウラーがTP5x Pix、女子ではブルック・ヘンダーソンがTP5x、国内では中島啓太がTP5などと、ユーザーを確実に増やしている。その象徴が女子ゴルフ世界ランク2位のネリー・コルダだ。今季からチームテーラーメイドに加わり、ステルス2シリーズのウッドとニューP700シリーズアイアンとともにボールはTP5を使用している。
3代目のTP5シリーズは、2代目に取り入れた高弾性新素材「HFM=ハイフレックス モジュラス」によるボール初速の向上に加え、新開発の「ツアーフライトディンプルパターン」が生む空力性能による高い弾道安定性能を手にしているという。
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ニュー「TP5」シリーズを
ドライバー、ウェッジ、パターで徹底試打!
試打・解説/鈴木悠介
2016年プロテスト合格。試合に出場しながらゴルフスタジオ「千葉銀座CC」でレッスンも行う。データはゴルフゾンのショット測定器で計測し、5球のうち上下1球を除いた3球の平均値をとった
TEST 1. 「ステルス2 プラス ドライバー」で試打
最初のテストはTP5xとステルス2プラスドライバー。これは現在のマキロイの組み合わせと同じ。試打クラブのロフトは10.5度、シャフトはディアマナTM50(S)。HSを42m/s前後にセーブして打ってもらった。
「このスピードでも、ボールがつかまって初速が出ています。打感は芯のある軟らかさで気持ちいいです。ステルス2プラスは、ボール初速と操作性の良さに加えてつかまりがよく、かなりやさしいです。TP5xは低スピンなだけではなく、スピードに応じた適正スピン量で飛んでいく、スピンの安定感を感じます」
次に同じHSでTP5に替えてテスト。
「打感がTP5xよりも軟らかく、フェースにしっかり乗っているのがわかります。そのぶん球がつかまってドローボールが続きますね。ドローで飛ばしたい人はこの組み合わせ、お薦めです」
今度はHSを46m/sまで上げてみる。
「ヘッドスピードを上げるとTP5xの弾道安定感の高さがさらに引き立ちます。3球打って、いずれもストレート弾道でフェアウェイのセンターに集まりました。弾きも強いです」
次はTP5、HS46m/sで打つ。
「インパクトでボールがしっかりつぶれて、さらにつかまります。いわゆる中弾道のドローでランもすごい。つぶれても吹き上がらない点がいいですね。ドローが持ち球のパワーヒッターにぴったりだと思います」
テストしながら、しきりに「ステルス2プラスが前作よりやさしくなった」という鈴木プロにまとめてもらった。
「HSにかかわらず、ストレートからフェードで飛ばしたいならTP5x、ドローで攻めるならTP5がいいと思います。そういった面でもストレートフェードで350ヤード飛ばすマキロイがTP5xを使うのは納得ですね。それと、HSが41〜42m/sぐらいの人でもステルス2プラスとTP5シリーズの組み合わせは十分いけます。ドロップしたり、右に滑ってしまう球はまったく出ませんでしたから」
●「ステルス2 プラス ドライバー」(HS42m/s)での試打データ
ボール初速 | スピン量 | 飛距離 | |
---|---|---|---|
TP5 (HS42m/s) | 62.7m/s | 2324rpm | 253.2Y |
TP5x (HS42m/s) | 63.5m/s | 2542rpm | 251.5Y |
●「ステルス2 プラス ドライバー」(HS46m/s)での試打データ
ボール初速 | スピン量 | 飛距離 | |
---|---|---|---|
TP5 (HS46m/s) | 68.5m/s | 2408rpm | 275.0Y |
TP5x (HS46m/s) | 68.9m/s | 2294rpm | 272.5Y |
TEST 2. 「ステルス2 HD ドライバー」で試打
続いては、ステルス2 HD(ロフト10.5度、テンセイTM50・S)ドライバーでテスト。HDはハイドローの頭文字で、球のつかまりやすさと振り抜きやすさに特化したドライバー。ネリー・コルダは、このステルス2 HDドライバーとTP5を使っている。
「HS41m/s前後でTP5を打ちましたが、本当にやさしい。球がきちっとつぶれて文字通りのハイドローが出ます。というよりもハイドローしか出ません。コルダがこの組み合わせを選んでいるのがよくわかります。右サイドのミスをクラブとボールで消して、徹底的にドローボールでマネジメントしているはず、それが安定感と強さの大本だと感じました」
「同様のHSで、TP5xを打ちました。こちらもドローを描きますが、曲がり幅が小さくなり、ストレートに近いドローが出ます。(計測器のインパクトデータで)フェースが少し開いた状態で当たっても、右に滑らず真っすぐ飛んでくれます。HSはこれぐらいのほうがTP5xの弾きの強さ、初速性能の高さを感じます」
●「ステルス2 HD ドライバー」(HS41m/s)での試打データ
ボール初速 | スピン量 | 飛距離 | |
---|---|---|---|
TP5 (HS41m/s) | 61.6m/s | 2564rpm | 239.6Y |
TP5x (HS41m/s) | 62.0m/s | 2479rpm | 240.1Y |
TEST 3. 「ステルス2 ドライバー」で試打
プラスとHDの中間に位置するステルス2(ロフト10.5度、テンセイTM50・S)も打った。
「プラスをさらにやさしくした印象です。HS40〜43m/sで、250ヤード目指して真っすぐ飛ばしたいならTP5x、ドローで飛ばしたいならTP5という選択です。それと、フェースに食いつく軟らかな打感が好みという人もTP5ですね」
TEST 4. 「ハイ・トウ3 クロームウェッジ」で試打
クラブをロフト58度のハイ・トウ3 クロームウェッジに持ち替えてテスト。シャフトはディアマナ サンプ ウェッジ95。
「普通に80ヤード想定でショットしました。これはショートゲームの弾道の好みが出ますね。TP5は低い弾道でトントンキュッと止まります。球がフェースに乗っている時間が長く、スピンが利いているのがわかります。球を上げずにラインを出して寄せたい人はこれです。TP5xはロフト通りに上がって、落ちてトンピタッで寄せるイメージ。ロブショット好きの人はTP5xが良いかもしれません。TP5でロブをすると、低めに出るぶん、少し前に行きます。スピンが強く止まるので、慣れれば距離感も合ってくるはず」
次に50ヤードと30ヤード。
「TP5は本当に弾道が低くラインが出ます。弾道が低いということはそのぶんスピンが入っているということ。TP5xは中弾道でソフトな軌道を描いて止まります。飛び出しがゆっくりで安定感があります。寄せ方の好みで選ぶべきですね。Pixも打ちましたが、5〜30ヤードだと、この柄のおかげでスピン(逆回転)して飛んでいくのが実際に確認できます」
低め弾道&高スピンならばTP5。ロフト通りの高さ&高スピンならばTP5xが合う。
TEST 5. 「スパイダーGT X トラスヒールパター」で試打
最後のテストがパッティング。使用パターはスパイダーGT Xのトラスヒールパター。
「パットでは打音の違いが明らかです。TP5は『コツッ』という低く落ちついた音。対して、TP5xは『コン』と少し大きな音。球足の伸びはどちらも一緒で、同じ距離感で打てます」
パットで気になるのが、リッキー・ファウラーがデザインを監修したPixモデル。オレンジ色が一部に入った三角形のパターンが特徴だ。
「ターゲットラインに合わせてボールをセットして打ってみたら、左右のオレンジが太い帯を描いて転がっていくのが新鮮です。ラインを読む際も従来の細い1本線ではなく、太い帯のラインでカップインするイメージが出ます。これ、ラインを読みやすいですよ」
パットはPixのデザインがライン読みに威力を発揮
ロングショットからパットまで、数々の新発見があった本テスト。TP5か、TP5xか、あなたはどっちを使う?
週刊ゴルフダイジェスト2023年4月11日号より
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