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ロフトも長さもほぼ5番! でも7番より打ちやすい? 飛び系アイアンの雄『ゼクシオ クロス』

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はダンロップの「ゼクシオ クロス アイアン」を取り上げる。

解説:松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

ゼクシオの中でも最も飛ぶアイアン

アイアンに飛距離を求めるエンジョイゴルファーに向けた「ゼクシオ クロス アイアン」は、19年春に発売した初代の飛距離と直進性に磨きをかけ、高弾道と直進性を追求したアイアンになっている。同じブランドラインである「ゼクシオ イレブン」「ゼクシオ エックス」に採用された、手元に重量を持ってくる「ウエイトプラス」テクノロジーを搭載し、スウィング軌道の安定とヘッドスピードアップを図った設計だ。

また、チタンカップフェース構造で低・深重心化したロフト17度の「#0」もラインナップ。高打ち出し、低スピンの大きな飛距離性能で、アイアンで飛ばしたいゴルファーをサポートした。

そんなゼクシオ クロスの7番アイアンのクラブ全体とヘッド単体を実測。クラブ重量が362g(標準カーボン仕様)と軽く、スウィングウェートもD0.4と大きくないが、クラブ長さが37.75インチと5番アイアン並みに長いので、クラブ慣性モーメントが266万g・cm2となり、本来はドライバーのヘッドスピードが42m/sくらいのゴルファーがタイミングよく振れる設計になっている。しかし、装着された標準の「ゼクシオ クロス MH2000 カーボンシャフト」(Sフレックス)は、ドライバーのヘッドスピードが30台半ばのゴルファーでも振りやすいと感じるほど軟らかいのでシニアでも「S」で問題なさそうだ。

Point1. 7Iのシャフト長が通常の5Iと同等の37.75インチ
Point2. ヘッド重量が362gと軽い
Point3. リアルロフトが7Iで25.2度と非常に小さい

飛距離はもちろんソールの抜け感も◎

ヘッドをみていこう。フェースは「ゼクシオ11」のように長いが、最大の違いはシャローフェースになっていること。そして、ユーティリティのようにソールの幅が非常に広く、重心深度の深さを想像できる。トップラインは丸く、球を包み込むイメージが出ているが、リーディングエッジは逆にストレートというのが特徴的だ。

さて、実際に試打したインプレッションだが、アドレスでは長さもロフトもまさに5番アイアンといった感じ。前述のようにフェースが長いので、いかにも打ちやすそうなイメージがあり、また、ソールの幅が非常に広いので正直アイアンとしては異形状感がある。

フェース面は硬くインパクト音も高いが、フェースの弾きはいい感じ。ちなみに前モデルにはソールにバウンスがなく、少し突っかかり感があったが、今作はバウンスが付けられ、ソールの抜け感は良くなった。ライ角度がアップライトで、球のつかまりは十分。対象ユーザーであるシニアゴルファー数人に試打してもらったところ、7番アイアンのロフトが通常の5番アイアンと同程度の25度なので、ティーアップした際は飛距離が出て満足していたが、フェアウェイからは球が上がりにくく、「セットは8番からで十分」という声が多かった。

左から5I(21度)、7I(25度)、9I(32度)の超ストロングロフト。グースネックかつトップラインが丸みを帯びているので、球がつかまるイメージが湧く

<試打クラブスペック>
番手/7I(25度) シャフト/ゼクシオクロスMH2000 カーボンシャフト(S)


ダンロップ
ゼクシオ クロス アイアン

●ヘッド素材/チタン&SUS630ステンレス&高比重タングステンニッケルウエイト
●ロフト角/25度
●ライ角/62.5度 
●長さ/37.75インチ
●シャフト/ゼクシオ クロス MH2000 カーボンシャフト(S)
●総重量/約360g(R)
●価格(税別)/12万5000円(71~PW&AW)

クラブ&ヘッドデータ(実測値)

クラブ長さ/37.75インチ
クラブ重量/362.0g
スウィングウェート/D0.4
クラブ慣性モーメント/266万g・cm2
ヘッド重量/260.7g
リアルロフト角/25.2度
ライ角/62.2度
フェースプログレッション/2.2mm
バウンス角/3.7度
重心距離/41.8mm
重心深度(フェース面から)/7.5mm
スイートスポット高さ/19.5mm
ヘッド慣性モーメント(左右方向)/2684g・cm2
ネック軸周り慣性モーメント/6432g・cm2

週刊ゴルフダイジェスト2021年2月16日号より