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【浅草・カツカレー】気前よく"全入れ"でぃ! 江戸っ子気質の下町カツカレー

日本国内で「カレー」といえば、本場の流れを汲んだ多様なスパイスによるインド風と、洋食風にアレンジされた欧風の2派に大別されるが、欧風の最右翼とも言える亜種〝カツカレー〞が浅草で生まれ、老舗グルメ店ひしめくこの街が、現在、ひそかなカツカレー地帯として知られることをご存知だろうか。

ゴルフ場メシ向上委員会は「高くて」「マズい」と何かと不評の多いゴルフ場の「味改革」に役立つヒントを探しながら、誰もが食べて旨いと感じる味覚の標準値を探ります。「旨いの基準」は本家本元、本流の味を提供し続ける伝統店、人気店のメニューを考察し、多くの人に支持される味の秘密に迫るものです

元祖の街、浅草で磨かれるカツカレーの技と旨さ

中華・洋食やよいの「カツカレー」

やよいで出る、セットのスープもコクが深すぎ!

大正7年、屋台の洋食屋として浅草を中心に営業していた「河金」は、客からの「カレーととんかつを一緒にしてみては?」というリクエストを受け、丼飯にキャベツとカツを乗せ、カレーをかけた丼物を出すようになった。

〝河金丼〞と名付けられたこの一皿は、またたく間にこの店の人気メニューとなった。

おのおかげもあってか、のちに店舗を構えるに至り、グルメ番組や映画の舞台にまでなったと言う。

商売の常と言うべきか、その後、周辺でもカツカレーを出す店が増え、「その道の名店」が林立するようになった。

好き者たちをして「浅草のカツカレーは、どの店で食べても外さない」と言わしめるに至った土壌は、ここにあるのだろう。

ではどこの店が一番旨いかと聞くと、意見はわかれるものの、「河金」「リスボン」「とん久」「やよい」、大抵この4店が話に上がる。

そんな〝カツカレー四天王〞の中で、最近「やよい」周辺がザワついているらしい。どういうことかを確かめに、お店へ行くことにした。

薄めの衣に絡みつくルー。いろんな旨みが押し寄せる~

三ノ輪駅を出て、花街を横目に江戸町通りを歩くと、花園通りとぶつかったあたりにお店はある。

「大正13年、祖父が洋食屋として創業したと聞きます。店の前の道路が砂利だった頃の話ですね」創業当初の写真を見ながら、3代目にあたる大西功一郎さんが言う。

中華料理を扱うようになったのは、大西さんの父にあたる先代だそう。

洋食と中華、2人の先達を師としつつ、いまだ試行錯誤を重ねて作る料理の数々は、下町グルメの知る人ぞ知る逸品揃いだ。

ちなみに「ザワついている」理由は、数日前、ドラマ「孤独のグルメ」最終話の撮影が、ここで行われたこと。そんな状況でも3代目はマイペースに味の探求を続ける。

「値段が上がるので、そんなに高い材料を使わない代わりに、さまざまな工夫をしています。たとえば風味を出すため、ルーにターメリックやガラムマサラ、クミンシードなどを入れるのですが、火を入れすぎると風味が損なわれる。豚肉ひとつ取っても、筋切りや脂の温度加減で変わりますしね」

工夫ですね…と言いかけたとき3代目が手にしたラードをふと見ると、オランダ製の最高級品。このあたりに、大正時代から浅草で看板を張って来た老舗の矜恃が見 て取れる。

揚げ物の音が店内に響き、スパイシーな香りが鼻腔をくすぐると、いよいよお出ましだ。

ご飯とキャベツ、カツにルーを絡めて頬張ると、香ばしさの後に来るスパイシーな風味をキャベツの甘みが優しく包み、色んな風味が押し寄せる。

銀座や日本橋の和食が引き算ならば、下町のカツカレーは〝足し算の美学〞。こだわりと気遣い、威勢の良さが際立つ、下町ならではの一皿だ。

創業当時から人気の「ポークソテー」。低めの温度で時間をかけて焼き上げ、肉汁たっぷり

中華・洋食やよい
東京都台東区浅草5-60-1
TEL.03-3872-7710
営業時間:11:30~15:00、17:00~21:00
木曜定休

やよい

月刊GD2020年2月号より

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