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米の名門をオマージュ! タイの新設コース「バリシアーゴルフリンクス」に世界が注目する理由

タイのバンコク近郊に、昨年、名匠ギル・ハンス設計の本格的コースが新設された。果たしてどんなコースなのか。幸運にもプレーできる機会を得たので、さっそくレポート!

「バンラカットクラブ バリシアーゴルフリンクス」(以下バリシアーGL)は、バンコクから車で50分、スワンナプーム国際空港からは25分という好立地に位置する会員制ゴルフ倶楽部。もともと、キアタニCCというゴルフ場があった場所に造られたリンクススタイルのコースで、2021年9月にオープンしたばかり。

設計は、名門ロサンゼルスCCの改修やリオのオリンピックGCの設計に携わったギル・ハンス。今回のバリシアGLは、もともとあったキアタニCCの改修ではなく、完全にイチから造り直したコースということで、その本気度が伺える。

「リンクス」と名が付くだけあって、平坦な地形ではあるが、コースには微妙なアップダウンがあり、「アルプス」と呼ばれる丘を越えてグリーンを狙っていくホール(10番パー4)や、山のように盛り上がったグリーンに向かって打ち上げていくホール(13番パー4)もあり、1つひとつのホールに特徴がある。

もうひとつ、リンクスらしいところといえば、どのグリーンに打っていけばいいか分からないこと。日本のコースのように、ホール間をセパレートする木々がないため、周囲のホールのピンが丸見えで、ティーショットはもちろん、セカンド地点からも、狙うべきピンを間違えてしまいそうになる。キャディなしでセルフで回れと言われたら、18ホール迷わずに完走することは不可能だろう。タイのコースでは1人に1人キャディが付くのが一般的なので、そこは心配無用だ。

カートはヤマハ製で特製のサンシェードや氷が敷き詰められたクーラーボックスなど暑さ対策も万全。GPSナビも搭載されている

変化に富んだグリーン形状

そしてこのコースの最大の特徴は、グリーン。通常、日本のコースでは、奥から手前に向かって傾斜する「受けグリーン」が一般的で、グリーンの形状もおおむね丸型。グリーンそのものに特徴があるホールというのは少ない。だが、ここバリシアーGLは、すべてのグリーンが個性的。ただうねりがあるというだけでなく、手前から左奥に傾斜していたり、「パンチボウル」と呼ばれるお椀型のグリーンがあったり、中央に大きな溝が横たわっていたり……。

なかでも面白いのが、「サムプリント」と呼ばれるグリーン。「『サム』とは親指のことで、親指をグリーンに押しつけたような形のグリーンがあるんです」とスタート前に支配人から話を聞いていたのだが、13番の小山から見下ろした14番パー3のサムプリントは、想像していた“親指”の数十倍。大巨人の親指で判を押したような窪みがグリーンにつけられていた。

アメリカの超名門をオマージュ

ホールごとに特色があり、遊び心に富んだバリシアーGL。実は単に奇抜さを狙った設計ではなく、ニューヨーク郊外にある名門・リドーGCをオマージュして造られたという。リドーGCは米国ゴルフコース設計の父と呼ばれるC.Bマクドナルドの作。アルプスやレダン、パンチボウルといったクラシカルなデザインをふんだんに取り入れた設計は、かのナショナルゴルフリンクスとも並び称される名作として知られる。ちなみに「バリシアー」は、このマクドナルドが居を構えた邸宅の名前に由来する。

先月には、アジアパシフィックアマチュアゴルフ選手権でタイを訪れていたオーガスタナショナルGCの会長が、バリシアーGLの噂を聞きつけ、ぜひ回りたいとラウンドしに訪れたという。ギル・ハンスがタイで初めて手掛けたコースは、それだけ注目度が高いということだ。

この日は風が弱かったが、風が吹くとさらに難度が増す。バンカーも深く手ごわい

筆者のラウンドは、見た目以上にタフなコースに悪戦苦闘だったが、支配人いわく「3回ラウンドするとより楽しめるようになる」という。たしかに一度や二度ではこのコースの奥深さを堪能することは難しそうだ。いい記事を書くためには、最低あと2回ここに来なければならないというわけだ。仕事なのでこればかりは仕方あるまい。再訪を誓う。

クラブハウスも上質な佇まい。レストランではタイで有名な「NARA」の本格的タイ料理がいただける

バンラカットクラブ
バリシアーゴルフリンクス

199-200 Moo 5, Bang na-Trad Rd Km 29 Bang Bo, Samutprakarn 10560, Thailand
https://brc.co.th/jp/