ゴルフ場は緑の砂漠? それとも生命のゆりかご? 英議員の発言が波紋
イギリス緑の党・前党首が「ゴルフコースを減らすべき」と語ったことが波紋を呼んでいる。
「今すぐゴルフコースを閉場しろと言っているのではない。ただ、土地利用について考える必要がある。ゴルフコースが少なくなれば、その土地をより社会的な環境保全に役立たせることができる」とナタリー・ベネット前党首。
これに対し、多くのメディアが「時代遅れの発想」と、さまざまな例や証拠を挙げ、近年のゴルフコースは環境に優しく、生物の多様性に貢献していることを明らかにしているのだ。
オブザーバー紙は、「確かに、かつてゴルフコースは“緑の砂漠”と揶揄(やゆ)された時代もあったが、今や環境負荷の高い多くの農薬が世界的に使用禁止となり、状況は変わった」と報じている。
オーストラリアの科学者たちによる3年以上の研究によれば、「これまで調査してきた緑地帯のなかで、ゴルフコースはもっとも多様で豊富な昆虫や鳥、コウモリなどがいた。特に鳥の種類でいえば、もっとも少なかったゴルフコースが、他の緑地帯の最大数より多かった」。それだけの多様性が確保されているということは、植物も豊かということだろう。
アメリカの例も紹介されている。ミネソタ州にある135のゴルフコースが、地域の気温や植物の受粉、生物多様性の保全、降雨による水害の抑止などに役立っているという結果が、ミネソタとミシガン州の大学研究によって発表されている。これは森林や公園、住宅地などとゴルフコースが環境に与える影響を比較したもので、過去最大級の調査だとか。
ガーディアン紙は、「近年、イギリスのゴルフクラブでは、彼らの土地が自然を取り戻したことによって、生物の多様性が促進されている」という文章をベネット前党首の言葉とともに紹介しているが、あるいは、ベネット氏の発言によって、ゴルフコースを守ろうという機運が高まっている?
週刊ゴルフダイジェスト2022年9月13日号より