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ゴルフ場で散歩、ランニング… スコットランドのありふれた光景が見られなくなる?

全英オープンが開催されたセントアンドリュース・オールドコースが公営パブリックコースであることは周知のとおり。普段はR&Aをはじめ、周囲にあるクラブがスタート枠を持っており、その会員がプレーしているが、その一方で、早朝や夕方などは市民が敷地内を散歩したり、ジョギングを楽しんでいる。しかしこうした光景が、今後見られなくなるかもしれない?

オールドコースの市民の利用は、かなり以前から行われているが、スコットランドでは2003年に「ランド・リフォーム条例」ができて、レクリエーションや健康のために公共の土地や一部のプライベートな土地を利用できる権利を市民に与えている。ゴルフコースもその例外ではなく、「ゴルファーのプレーを邪魔しない」「グリーンには立ち入らない」といった条件のもと、うまくゴルファーと散歩やジョギングをする人々が共存していたのだ。

しかし、コロナが状況を大きく変えた。ロックダウン中、プレー客の消えたゴルフコースは非ゴルファーを積極的に受け入れていたが、ロックダウンが解除され、ゴルファーが戻ってきて以降、トラブルが増加しているという。

これを受け、たとえばランカシャー州にあるボースウェルキャッスルGCでは、地元議会の承認を得て「メンバーとゲスト以外の立ち入り禁止」という看板を出すにまで至っている。同クラブによれば、「イヤホンをしながらランニングしている人には、ゴルファーが『フォア』と叫んでも聞こえない」という理由で、安全面を重視した結果の判断だという。

早朝や日没前にゴルフコースを散歩している光景は、海外のパブリックコースでは日常的に見られるが、日本はもちろん立ち入り禁止。日時を限定し、非ゴルファーの市民にゴルフコースを開放して好評を博しているコースもあるが、過去、無断でコース内に立ち入り、池で釣りをしていた子供が死亡するという痛ましい事故も起きている。自己責任か安全性か、この問題、まだしばらくは解決しそうもない。

ゴルフ場はゴルファーだけのもの?(PHOTO/Tadashi Anezaki)

週刊ゴルフダイジェスト2022年8月2日号より