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コース隣接の民家へ打ち込み660回! 訴訟で6億円勝訴も差し戻し…理由は「ゴルフというスポーツの難しさ」

アメリカで2021年末に、コースの隣に住む夫婦がゴルフ場を相手取り500万ドル(約6億6000万円)の訴訟を起こし勝訴した裁判があった。しかし最高司法裁判所は元の評決を取り消し、高等裁判所へ差し戻す判断を下したという。

米ゴルフダイジェストによれば、17年4月にマサチューセッツ州キングストンのインディアンポンドCCに隣接する家を75万ドルで購入したテンツァー夫妻は、引っ越してみて、ある深刻な事態に直面したという。

家は15番ホールの脇にあり、ドッグレッグホールのちょうど曲がり角。そのためショートカットを狙うゴルファーの打球が絶え間なく自宅の壁を直撃することになったのだ。夫婦によると「4年間で660回以上(よく数えた!)の集中砲火を浴びた」とのこと。

そこで、一連の打球事故からテンツァー家を守らなかったのは明らかな過失、として裁判を起こした。

コース側は彼らの自宅の近くに植栽し、カップの位置を変更するなど直撃事故を防ごうと誠意は示したものの、夫妻が望んでいた保護ネットの設置には応じていなかった。

裁判に発展した問題は21年12月に一旦の決着を見せた。マサチューセッツ州の陪審員がゴルフ場の過失を認め、493万ドル(約6億5000万円)の賠償金の支払いを命じる評決を下したのだ。

しかし22年の12月末、マサチューセッツ州最高司法裁判所が「前の判事の明らかな間違いがあったため、評決を取り消すものとする」とし、新たな裁判のため高等裁判所への差し戻しを決定したのだ。

評決を覆したスコット・カフカー裁判官によると「ゴルフにおける誤打球は野球のフォアボールやエラーのようなもの。最高レベルの選手でさえゴルフというスポーツの難しさに挑戦している。練習し技術の改善を繰り返しても当然のことながらゴルフショットはうまくいかない」と説き、ゴルファーがボールを誤って意図しない場所に打ち込むことの正当性に言及したのだ。

だからといってゴルフ場の対応は適切だったのか、など論点は多いが、裁判は新たな局面を迎えることに。夫婦の弁護士は1月中に新たな訴訟を提起するとしている。

コース隣接の家は憧れるが……(写真はリビエラCC)

週刊ゴルフダイジェスト2023年1月24日号より