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【名手の名言】ジーン・リトラー「コースはスコアアップの方法を学ぶところ。練習場は技術を磨くところ」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、精密機械のようなスウィングで通算29勝を挙げた名手、ジーン・リトラーの言葉を2つご紹介!

日本ツアーでも活躍したリトラー。84年と85年の「太平洋クラブマスターズ」を連覇している


コースはスコアアップの方法を学ぶところ
練習場は技術を磨くところ

ジーン・リトラー


リトラーは言う。

「わたしは練習場で、これだというまで技術習得のために練習して、その成果をコースで試す。コースでは技術習得のための練習は捨てる。そして、自分が完全にできるという自信のある方法でのみ、コースを攻略する。その日、まっすぐに打った球がスライス気味の球筋になっていたら、スライス気味の球筋で攻略を組み立てる。その場でスライスを直そうとはしない。しかし、そのラウンドが終わったら、その足で練習場へ足を運び、ストレートの球を打つ打ち方を練習する」

このことを裏づけるエピソードが残っている。プロ入りして間もない頃、あるトーナメントで優勝し、その表彰式でリトラーの名前を呼んでも、彼は会場のどこにもいない。

その後、関係者は汗まみれで打ち続けるリトラーの姿を、練習場で見つけることになる。優勝してさえ、その日の技術の修正に夢中で表彰式を忘れたという……。

リトラーのような名手でさえ、ラウンド中にスウィングの修正を試みることはせず、ラウンド後の練習で修正を図る。ひるがえって多くのアマチュアゴルファーは、ラウンド中にスウィングをいじくり倒し、スウィングがボロボロになったまま帰路につく。そして次に練習場に行く頃には、何が悪かったのかすっかり忘れている。これでは到底上達のサイクルには入り得ない。

練習してもいっこうにスコアが変わらない……という御仁は、リトラーの言葉を参考に「ラウンド後の練習」を取り入れてみてはいかがだろうか。


ゴルフは“ベスト・ミス”のゲーム

ジーン・リトラー


リトラーのスウィングは精密機械のごとくメカニカルで、「ジーン・ザ・マシーン」と賛美された。

帝王ニクラスや、その後を継ぐといわれていたトム・ワトソンの時代に、リトラーの勝ち方は彼らとは確かに違ってみえた。ニクラスやワトソンのようなパワーはなく、計算されつくしたショットの正確さ、冷静な思考の果ての勝利が彼らより際立って見えたからだ。

そんな完璧主義と思われるリトラーの口から表題の言葉が出たのだからおもしろい。

「大事なのは、いくつ素晴らしいショットを放ったかではなく、いかに取り返しのつくミスにするかなのだ。半ストロークミスのショットなら、痛手は取り戻せるから」

いつも完璧を狙って打っているかのように見えたリトラーは実はミスを許容しながら打っていたというわけである。しかも

「路上の雨のように、自信はストリーキー(ムラがある)なもの」

とも打ち明けている。我々アマチュアゴルファーは、完璧なショットを狙ってついつい1ストロークどころか2ストローク、3ストロークも損をするようなミスを繰り返してしまうが、壁を打ち破るには“半ストロークのミス”とやらを考えてみる必要がありそうだ。

■ジーン・リトラー(1930年~2019年)

米国カルフォルニア州生まれ。1953年全米アマ優勝。翌54年にはアマチュアながらサンディエゴオープンに勝ち、プロ転向。全米オープンでも2位に入り旋風を巻き起こす。正確無比なスウィングで「ジーン・ザ・マシーン」と賛美された。ツアー通算29勝。その中には61年全米オープンの勝利も入っている。72年皮膚ガンに倒れるも、翌年勝利し、奇跡のカムバックを果たす。ツアー最後の勝利は47歳。81年にシニアツアー入りしてからも多数勝利。90年ゴルフ殿堂入り

>>ジーン・リトラーのアイアンスウィング(連続写真)