PGAツアーでは275Yショットも“アプローチ”!?「グリーン周りの寄せ」にまつわるエトセトラ【明日使えるゴルフ用語】
普段当たり前のように使っているゴルフ用語だが、その成り立ちや意味を問われたときに、正しく返せるだろうか? ここではラウンド中の会話やゴルフ仲間とのやりとりで使える、ゴルフ用語にまつわるうんちくを紹介する。
アプローチ
ゴルフで「アプローチ」といえば、誰もがグリーン周りからの「寄せ」を思い浮かべるだろう。しかし英語でアプローチというと、グリーンを狙うすべてのショットのことを指す。
つまり残り10Yのウェッジショットも、残り200YからFWでグリーンを狙うショットも、すべてアプローチ。
PGAツアーの「statistic」(各選手の平均飛距離やパット数といった競技データ)のページを見ると、「approach the green」という項目があるので、ついそこにアプローチ(=寄せ)の記録が載っていると思ってしまうが、詳しく見てみると、「approaches from 100-125 yards」「approaches from 150-175 yards」といった具合に、100Yを超えるショットデータも「アプローチ」と一括りにされていることが分かる。ちなみに「approaches from >275 yards」というデータもあり、PGAツアーでは当たり前のように、275Y超でもグリーンを狙うショットとみなされているから驚きだ。
では、いわゆるアプローチ(=寄せ)に関するデータはどう書かれているかというと、「around the green」、すなわち「グリーン周り」という呼び方をしている。明快ではあるが、日本ではグリーン周りの寄せを「アプローチ」と呼ぶ言い方が完全に定着しているので、以下、アプローチを「グリーン周りの寄せ」という本来の(?)意味で使用することにする。
出球の高さによって呼び名が変わる
ひとくちにアプローチといっても、いろんな種類がある。最もオーソドックスなのがピッチ&ラン(pitch and run)と呼ばれるアプローチで、おおむねキャリー(宙に浮いている距離)とラン(落下してから止まるまでの距離)が1対1になるぐらいのアプローチのことを指す。ピンまで10Yのアプローチだとすると、5Y飛ばして5Y転がっていくイメージだ。
ピッチ&ランよりも少し高く上がって、そのぶんランが短くなるようなアプローチは「ピッチショット」(pitch shot)、逆に、低い球でキャリーが短く、ランが多くなるアプローチは「ランニングアプローチ」(英語ではchip shot)などと呼ぶ。バンカーを越えてすぐのピンを狙うときなどに、高く上げてその場で止めるような球は「ロブショット」(lob shot)と呼ばれる。
こんなにたくさんの種類のアプローチを打ち分けるのはかなりの技術が必要にも思えるが、単純に考えれば、球が打ち出される角度が違うだけ。打ち出しの角度は、インパクトの際のロフト角(フェース面が上を向く角度)によって決まってくるので、フェース面が上を向いた状態で当てればピッチショットやロブショットに、フェース面が前を向いた状態で当てれば低く出るランニングアプローチになる。
これを1本のクラブ(ウェッジ)で打ち分けるのは、たしかに高度な技術になるが、初めからロフト角が違うクラブで打てば、容易に打ち分けることができる。
グリーン周りはAW(アプローチウェッジ)やSW(サンドウェッジ)と決めつけがちだが、ボールとピンの間にバンカーやラフなどの障害物がなければ、球をフワッと浮かせる必要はまったくない。ロフトが立ったPW(ピッチングウェッジ)や、9番アイアン、8番アイアンなどのクラブでちょこーんと打てば、コロコロと転がって意外と寄ってくれる。
またLW(ロブウェッジ)といった、初めからロフトが寝たクラブを1本入れておけば、無理にフェースを開いて難しい打ち方をすることなく、高くて止まる球を打つことができる。
ただ、どの番手で打つとどのぐらい高さが出て、どのぐらいランが出るかというのは、事前に把握しておく必要がある。アプローチ練習場があるコースでラウンドする際には、早めに行っていろんな番手でアプローチの練習をしてみるといいだろう。