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【名手の名言】ボビー・ロック「アウトドライブされることを気に病むのは愚にもつかない見栄だ」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は南アフリカ初のメジャーチャンピオン、ボビー・ロックの言葉を2つご紹介!

1952年の全英オープンで3度目の優勝を飾ったボビー・ロック(左)。右は3年連続を含む全英5勝のピーター・トムソン


アウトドライブされることを気に病むのは
愚にもつかない見栄だ

ボビー・ロック


飛ばし屋のなかに混じると必ずスコアを崩すという人がいる。やはり普段以上に力んでしまい、結果球が曲がってしまうからだろう。

伝説の名手ボビー・ロックに言わせれば、それこそが愚の骨頂というわけだ。

なぜなら、ドライバーを持つのは1ラウンドでせいぜい14回。一方パターは30回以上持つのである。どちらに重きをおくべきかは火を見るよりも明らかだ。

ロックはパットの名手で知られた。かのゲーリー・プレーヤーは「75年間生きてきて、これまで私がパットの名手と認めたのはタイガー・ウッズとボビー・ロックだけ」と語り、極端に右を向いて構える変則的な打ち方ながら「ボールが面白いようにカップに吸い込まれていく」とロックのパットを評している。

ショットでもフック一辺倒だったが、パットでもフック回転を与えることで、南アフリカ特有のきつい芝目に負けない転がりのいい球を打っていたという。正確なフックボールでフェアウェイをとらえ、グリーン上で驚異的な勝負強さを発揮するスタイルで、全英オープン4勝を挙げている。

今年の全英オープンでも、驚異的な飛距離で見る者を魅了するローリー・マキロイを尻目に、勝負どころのパットを決めまくったキャメロン・スミスが勝利をさらっている。周囲に惑わされず、自分のゴルフを信じ、徹したことが、結果につながった。

どれだけアウトドライブされようとも、スコアでは負けない。雄弁な飛ばし屋たちをグリーン上で黙り込ませることができたら、それはそれで気持ちがいいはずだ。


緊張(tension)は
まずグリップと歩くペースに表れる

ボビー・ロック


この言葉はロックが著した『ボビー・ロック・オン・ゴルフ』のなかで言っていることだ。

ゴルフゲームのなかで最も大切なことはリラックスであり、その反対に最も有害なのはテンション(緊張)であることはいうまでもない。

しかし、頭では理解していても、優勝争いになったり、100の壁が切れるかもしれないと思ったりすると、心理的プレッシャーで知らず知らずのうちに体も硬直してくる。

要は、その兆候を早くに見つけ対処しなければならないのだ。その兆候とは、グリップを強く握り締めたり、歩くスピードがせかせかと速くなってくること。

この2つの兆候が表れたら、意識してその逆のこと――柔らかくグリップし、歩くスピードをゆるめる――をして対処すればいいとロックは言っているわけだ。

緊張することは悪いことではないし、適度な緊張感はいい方向に働くこともあるが、過度な緊張は百害あって一利なし。緊張を抑えようと思ってもなかなかできるものではないが、グリッププレッシャーと歩くスピードを意識することはできる。

ベストスコア更新が眼前に迫っているときなど、この言葉を思い出してみよう。

■ボビー・ロック(1917~1987年)

南アフリカ生まれ。本名はアーサー・ダーシー・ロック。父親は北アイルランドからの移住で、運動具店を家業にして成功。その父親から球聖ボビー・ジョーンズの本を与えられ、薫陶を受け、18歳で南アオープンに優勝。38年プロ入りした年にニュージランド、アイルランド両オープン、次の年にはオランダオープンを制している。米ツアーへは47年から2年半参戦し、59試合に出て13勝、2位が10回と赫々たる戦績を残している。その後、なぜか米ツアーへは背を向け、49、50、52、57年と全英オープン4回優勝。他にフランス、アイルランド、スイス、ドイツ、エジプト、オーストラリア、メキシコ、カナダの各オープンも制している。

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