【大人ゴルフの歩き方】Vol.16「飛ばないゴルフばんざ~い!」
スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。
ILLUST/Shinichi Hoshi
第16講 飛ばないゴルフばんざ~い!
①飛ばないっていいこともあるよ
②ボールが曲がるよりはましだって
飛ばないことに、くよくよするなかれ
最近めっきり飛ばなくなったと、久々にスウィングチェックをしてもらったら、なんとヘッドスピード38㎧に愕然。ついこの前まで42㎧だったのに~。なんてことを体験していませんか?
年齢による飛距離の低下はプロ選手も同じこと。シニアプロで飛距離の伸びた選手なんて、ほとんど聞いたことはありません。ここはまず現実を受け入れて飛ばない自分を認め、そこから対処を考えましょう。
飛ばないゴルフ戦略は、まずパーオンを諦めることです。今までパー4のホールなら380ヤードまでは、理論的にパーオン可能でした。ところが今は350ヤードが関の山、じゃどうするのか?
じゃ~ん、それは距離の短いコースでラウンドするのです。
それを言ったらキリがないので、通常のレギュラーティーから6200ヤードくらいのコースで、ラウンド戦略を考えてみます。
狙いは、ずばりボギーオン作戦。そしてたまにある短いパー4とパー3のホールで、2つぐらいパーを取れば、しっかり80台がでます。そんな夢のような戦略、実践できるのでしょうか。次で究明します。
●この前
おやじのこの前は20年前だから。この前まで年収1200万円、ハンディ12、月例優勝、愛人少し、外車大好きだったって? それ大分前だから
●現実を受け入れ
アマチュアのシニア競技はレギュラーティー、70歳以上の競技は6000Y程度。還暦過ぎたら、シニア競技に参加するのもテよ
●理論的
380ヤードのパー4はドライバーで210ヤード、5番ウッドで170ヤード飛べば乗るけど、成功するのは年に数回だけね
●ボギーオン
ゴルフを覚えたての頃、パー4で4オンしたとき「パーオンしました」と言ってた。パーで乗ったんだからさ。ならば5オンがボギーオンかよ~
飛ばし屋粉砕がアマチュアの醍醐味
飛ばなくなったとはいえ、死んでもシニアティーでは打たない。これぞアマチュアゴルファーの見栄です。しかし実際は上手い人ほど、シニアティーを使います。82歳のエージシューターに会った時、ハーフに2回ほど「ここは距離が長いのでシニアティー」と言っていました。エージシュート達成は、男子で6000ヤード以上のコースで打つという決まりがあるそう。それを計算してラウンドするのもあり。まぐれでビッグスコアが出ることもあります。飛距離が落ちたら謙虚に、クラブの想定飛距離の見直しをしましょう。従来110ヤードをPWで打っていた人は、9番アイアンを。1番手替えるとあら不思議、ばんばんグリーンに乗るようになるじゃん。
戦略としては、ほとんどのホールは刻み、すなわちボギーオンのゴルフを目指します。最初からパーオンをしないのをわかっていて、ゴルフをやってられっか。そう言わずに、何事も諦めの精神で臨みましょう。
開き直って軽く打ったら、セカンド地点にあるガードバンカーに届かず、フェアウェイキープ。当然、グリーン周りもバンカーにつかまらず、SWを使う機会がめっきり減り、大叩きがなくなりました。
練習はアプローチに8割を費やします。100ヤード以内ばかりを打ち、特に50ヤード以内は、グリーンオンをマストに。だから大きな練習場には行かず、安い50ヤードの鳥かご練習場で充分です。しかも、ゴルフ場に行ったら、真っ先にアプローチ練習場へゴー。やはり本物の草と土で打っておかないと、現場感はなかなかつかめませんぞ。
おやじが何故アプローチ練習ばかりやるのか、この歳になってやっとわかりました。100ヤードほどのショートコースが結構人気な謎。稲見萌寧選手が未だショートコースで練習する謎が解けた気がします。ゴルフは欲との戦い。欲すると現れず、欲しないと現れる賢者の石のように、欲を消して刻んで初めて頂ける、そんなパーがあるんですよ。
●見栄
ゴルフは見栄、人はダンディズムとも言うが、それがなくなったらおしまいのような気もする
●想定飛距離
アマチュアは毎回言い訳ばかりして、本当の自分の飛距離を知らない。だから大きめに打てばいいのよ
●刻み
刻みの魅力にはまると。人生全部刻みになるから恐ろしい。うどんはきざみ(関西風)、しょうがやニンニクも刻み。スクランブル交差点も刻みや~
●ショートコース
稲見選手は千葉のショートコースで今でも特訓する。行ったけど結構難しかった。“おやじの星”だよね
●賢者の石
ハリーポッターの1回目に出てくる。魔法をかけられて、使おうとする人間の前には現れない。自分の欲が試されますぞ
今月のまとめ
ゴルフは還暦過ぎてからよ。
シニア競技、グランドシニア、エージシュートと
ジジイのイベント目白押しじゃ
後は尊敬されるのみ
小僧ども追いついて来い
教える人/木村和久
ゴルフ歴32年のコラムニスト。ベストスコア75、2001年鶴舞CCキャプテン杯優勝。『89ビジョン』など新しいゴルフの楽しみ方を様々提案する自称「ゴルフ生活評論家」
月刊ゴルフダイジェスト2022年7月号より