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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.77「ハーフで70以上叩いてもコンペに出てOK?」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO /Takanori Miki

前回のお話はこちら

ある知り合いのアマチュアから「ハーフで70も叩く人は、コンペに出てはあかんと思うのですが、どう思いますか?」と聞かれたことがあります。

僕は「なんぼ叩いても、行儀さえよければ、問題あらへんのやないですか」と答えました。

「行儀がええ」というのは、他の人への配慮ができていることです。たしかにハーフで70も叩いて、行儀よくプレーするのは、できん話やないですけど、なかなか難しいかもしれません。

パー4で7オンしたとします。8打目のパットを歩測したうえに、しゃがんでラインを読んで、さらにピンの裏から、横からラインを読んで、アドレスに入る。こういうことを僕は“行儀が悪い”と言いたいのです。

グリーンにたどり着くまでの7打は、まあいいとしましょう。やってしまったことですから。せやけど、このプレーヤーに対して、一緒にまわっている人が求めるものは何でしょう。僕は1パットの“ダブルパーセーブ”やのうて、すみやかにホールアウトすることやと思うのです。

一緒のプレーヤーのなかには、後ろの組が待っておるのを、やきもきしている人もおるかもしれません。行儀のええプレーヤーは、自分の組ばかりやのうて、前後の組にも気配りできるもの。なんぼゴルフの腕が上でも行儀の悪いプレーヤーはぎょうさんおります。ハーフで70叩いても、行儀さえよければ、そっちのほうがずっとええプレーヤーやと僕は思います。

それでも「1打の重み」にこだわる人もおります。

プロの試合で4日間、14アンダーでぶっちぎりで18番にきたプレーヤーが大叩きして、ダブルパーならプレーオフ。トリプルボギーなら優勝という場面での1打は、ものすごく重い1打やと思います。それとハーフで70も叩くプレーヤーの1打が同じだと言うのは、相当無理があります。

ハーフ70も叩く人をコンペに参加させてもええのか、という話でしたが、コンペのローカルルールを決めれば済む話です。たとえば「当会ではダブルパーでスコアは打ち切り」と決めておけば、“ダブルパーセーブパット”を打たずにピックアップして、そのホールは終わります。

上手い人は、そのローカルルールの恩恵は受けられません。けど、下手な人にとっては気兼ねなくコンペに参加する動機づけになると思うのですが、いかがでしょうか。

「行儀がええプレーヤーとは、他の人への配慮ができること、それに尽きます」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2022年4月19日号より