【大人ゴルフの歩き方】Vol.14「スランプとヘボの挟間」
スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。
ILLUST/Shinichi Hoshi
第14講 スランプとヘボの挟間
①スランプとヘボの違いがわかりません
②一生スランプの人もいますよね。
スランプを認めるかは本人次第
ゴルフをやっていてスランプに陥ることがありますが、皆さんどのように克服しているのでしょうか。まずスランプの概念ですが、過去10年間、平均90台でラウンドしていたのに、ある月は3回プレーして平均100オーバーだった。これはスランプになりかけている前兆です。
長いゴルフ人生を歩んでると、1~2度はスランプを体験します。その時、どう対処するかが、後のゴルフ人生を大きく左右するのです。
まずさほど気にしない人ですが、これはアベレージゴルファーから、ヘボゴルファーへ格落ちとなります。最初は「俺スランプなんだよ~」とボヤきますが、次第に慣れていつの間にか「110の王」の仲間入りです。
そこが定位置となり、今後は「昔は70台出た」「4番アイアンで200ヤード飛んだ」などと、過去の自慢話で余生を過ごすでしょう。
それはそれでゴルフを、散歩の延長や気晴らしと解釈していれば良しなのです。最終的には「料金分、たくさん打たないともったいないよ」と訳のわからぬ解釈をして、相手をケムに巻きます。
いや、もっと上を目指すんだという人は、スランプの克服となります。
●前兆
ヒール球が増え、引っかけ、ダフリ、トップチョロ、シャンクなどが頻繁に出る
●気にしない人
もう歳だしいいやって思うと、あっという間にヘボ。ここは自分に厳しく
●自慢話
ラウンドするたんび、同じ話は勘弁してほしい
●スランプ
同じように打っていても、少しずつフォームがズレ、ある日ミスショットを連発し、一気にスコアが崩れる。気づかない人はそのままヘボに
自分で直せる人は少ない
スランプの最善の対処法は、顔なじみのレッスンプロを訪ねることです。先生は、生徒の癖や弱点を把握しているので、ワンポイントレッスン程度で、すぐさま直してくれるでしょう。
けれどアベレージゴルファーで、レッスンプロと懇意な人は稀です。では、いっそ飛び込みで行ってみますか。そうなると先生との相性や流派の違いが生じ、ベストマッチング&レッスンになる確率は低いでしょう。
ここは他人に頼るのをやめ、自力更生を目指しましょう。アマチュアのスランプの多くはショットです。パットやアプローチは、案外マネジメトやメンタルが原因だったりするのです。アプローチが下手ならチッパーを使ったり、転がし中心にしたりと、ギアの変更とコースマネジメントで、なんとかカバーできます。パターはカップインに固執せず、「OK」を目指しましょう。パットの悩みの多くは精神的なことが多いです。つまりイップス関連の悩みです。だから当分試合に出ない、ニギリをしないと決めればいいのです。
ショットの問題点は、ボールを曲げてしまうことです。あるいは薄くしか当たらない。これは練習場で売っているシールを買ってフェースに貼り、ボールがどこに当たっているかを確認しないといけません。
ヘボショットの多くは、ヒール側にボールが当たっているのが原因です。スイング理論なんてどうでもいいのです。とにかくフェースの真ん中付近に、ボールを当てるように心がけることが大事かと。次に飛距離ですが、7番のフルショットで150ヤード飛ぶなら、同じ7番で130ヤードを打つ練習をすること。つまり8割~9割ショットです。ミートしようと合わせにいくと、ボールが曲がりやすいので案外難しい。私も過去にハーフショットからリハビリを始めて、スランプを脱却しました。ここで諦めたら残りはヘボの人生。なんとしても復活してくださいね。
●ワンポイント
言われて、はっと気づくことが多い。たったひと言で5000円だけどありがたい
●ショット
ボールが左右に曲がるとゴルフにならない。矯正の意味でもスリークオーターを覚えな
●シール
フェースのどこに当たっているか、わからないと直しようがないよね
●8~9割ショット
最終的に1本のクラブで、距離を打ち分けられるようになれば、無双状態になります
●ヒール側
フェースのヒール側に当たると、シャンクが出やすい。引っかけも。ハイブリッドクラブは、ほぼシャンクが出ないのが嬉しい
今月のまとめ
スランプになり、叩いても悔しくないのが問題です。
練習せず、ぬくぬくテレビを見ながら
ビールを飲んだら、ヘボ人生まっしぐら。
ゴルフのスランプが、いつの間にか
人生のスランプになるかもよ~
教える人/木村和久
ゴルフ歴32年のコラムニスト。ベストスコア75、2001年鶴舞CCキャプテン杯優勝。『89ビジョン』など新しいゴルフの楽しみ方を様々提案する自称「ゴルフ生活評論家」
月刊ゴルフダイジェスト2022年5月号より