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【当たるも八卦当たらぬも八卦】Vol.72「トンガの噴火で夏の気候に影響あり!?」

ゴルフを愛する気象予報士・森田正光氏による気象コラム「当たるも八卦 当たらぬも八卦」。第72回は夏の猛暑にまつわるお話。

イラスト/マタキサキコ

今年の夏は猛暑の傾向が

今年1月15日、南太平洋・トンガ沖の海底火山が爆発しました。これによって日本にも異常津波が押し寄せるなどの被害が出ましたが、これで噴火騒動は終わりと考えて良いのでしょうか。

少し話は変わりますが、いまから240年ほど前、イギリスにルーク・ハワードという少年がいました。1783年、11歳の彼は今まで見たこともないような異様な色の雲を目撃し、それ以来、彼は雲の研究にいそしみます。

そしてハワードは30歳の時に雲の分類法を発表し、それが現在も世界中で使われている十種雲形の元になっているのです。


実はハワードが異常な雲を見た1783年(天明3)は日本の浅間山とアイスランドのラキ火山が、ともに記録的な大噴火をしています。浅間山の噴煙もラキ火山の噴煙も成層圏まで上がって地球を何周もしたと思われますので、ハワードは、その噴煙(火山灰)によって色の付いた雲を目撃したのだと考えられます。

問題は、その噴火による結果です。日本では江戸四大飢饉のひとつと言われる天明の大飢饉は、浅間山の噴火が飢饉を深刻にしたと考えられています。また、ヨーロッパではラキ火山の噴火が異常気象を多発させ、これによる凶作がフランス革命の一因というのがほぼ定説のようです。

では、今回のトンガ沖噴火の気候への影響はどうでしょう。火山噴火で気候に影響が出るのは、微粒子が大量に大気中に漂うからです。ところが今回、各研究機関の発表等を参考にすると、気候に影響を与える微粒子の放出は1993年のピナツボ噴火の50分の1程度のようです。となると、現時点では噴火による異常気象の多発などは、過度に心配しなくてもよさそうです。

気象庁でも噴火の影響はほとんど考えていないようで、むしろ太平洋高気圧が例年より強まりそうとの発表をしています。最新の予報によると、この夏は猛暑になる確率が50%もあるそうです。

森田正光

TBS報道番組「Nスタ」でお馴染み。監修した書籍『空の手帳』が人気。ツイッターは@wm_moritaで検索

月刊ゴルフダイジェスト2022年5月号より