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【当たるも八卦当たらぬも八卦】Vol.65 ゴルフボールに落雷!? 飛ぶボールが避雷針に

ゴルフを愛する気象予報士・森田正光氏による気象コラム「当たるも八卦 当たらぬも八卦」。第65回はゴルフのラウンドで一番危険な「雷」にまつわるお話。

前回のお話はこちら

飛んでいくボールが空中爆発!?

東京オリンピックは暑さと、台風の影響も受けましたが、ゴルフが行われた霞ヶ関CCも大会期間中、天候の影響を受けました。雷による中断や暑さでスタートを早めることも。それでも終わってみれば、天候にはまずまず恵まれたと言っていいでしょう。

ゴルフ中の天候で一番気になるのは雷ですが、今年の7月に信じられないようなことが、アメリカのテキサス州で起こりました。なんとゴルフ練習中に、空中に飛んでいるゴルフボールに雷が直撃したというのです。飛んでいるゴルフボールに雷が落ちたというような話は、聞いたこともありません。しかもゴルフボールは時速140キロ以上で飛んでいたといいますから、体験した人から見ると、稲妻が空中で爆発したように見えたことでしょう。

もともと雷は、雲と地上の間で起こる放電現象です。本来なら雲と地上の間には電気を通しにくい空気がありますが、その空気中に比較的電気を通しやすいゴルフボールが存在したことによって、ボールが避雷針のような役目を果たしたと言えます。ただゴルフボールは小さいので、普段なら積乱雲があっても雷が落ちる可能性はほとんどありません。とはいえ積乱雲内ならば、地上であれ空中であれ雷は場所を選びません。というより、そもそも雷は高いところに落ちますから、空高いところに飛んだゴルフボールも、タイミングが合えば雷の標的になるということを今回の事例は示しました。

空と言えば、飛行機やロケットに雷が落ちることもあります。有名なところでは、1969年のアポロ12号です。アポロは打ち上げ直後に、なんと二度も雷の直撃を受けたのです。この時の雷の電流は、機体から排煙を伝わって地面に放電されました。現代なら激しい雷が鳴っているときに有人宇宙ロケットを発射させるなど考えられませんが、当時は国家的な偉業のほうが優先されたのでしょう。

森田正光

TBS報道番組「Nスタ」でお馴染み。監修した書籍『空の手帳』が人気。ツイッターは@wm_moritaで検索

月刊ゴルフダイジェスト2021年10月号より