「キャディの仕事は一般企業でも役に立つ」ゴルフ場での社員研修という新しい試み
コロナ禍で密にならない会議や研修に苦慮している企業も多いだろうが、ゴルフ場という広々としたスペースで新人研修を行ったケースもある。
尾崎直道らのキャディだった足立美都樹(みとき)さんは、かねがね「キャディの仕事は一般企業でも役に立つ」と感じ、社員研修や採用試験にも生かせるのではと考えていたという。それが今月、形となり株式会社中村組(三重県四日市市)の新人研修が三鈴CC(鈴鹿市)で行われた。
目的は、強い組織づくり、チームビルディング。研修を受けたのは3人で、すべて非ゴルファー。彼らがキャディとなり2つの“チーム”に入る。プレーヤーは上司とプロキャディでアドバイザーが入り1組に。
スタート前はまずチームの目標を決めるところから始め、プレーヤーの喜びとは何なのか……ナイスショット、楽しい雰囲気、いいスコアなど、人によって違うことに気づく。コースに出ると、新入社員たちの目がいっそうキラキラし始めたのがわかったと足立さん。9ホール続けるうち、新入社員たちは気をきかせた動きや、声がけでの雰囲気づくりなど、そのまま会社で生かせる“スキル”を発揮。
足立さんは「組ごとに信頼関係ができたことで、新人さんたちは、ここが“安心安全”の場とわかったんだと思います。そういう場では社員は自分の強みを存分に発揮できます」と話す。9ホール後は、アドバイザーたちを交えたフィードバックも行われ、復習。
今回の試みは、足立さんの発案に始まり、人材教育会社の株式会社AWESOMEEYE、プロキャディとプレーヤーをマッチングする株式会社Brassy、そして先の三鈴CC、中村組のコラボで実現した。足立さんの発案ではあったが、倉本昌弘の米シニアツアーに帯同した渡辺宏之キャディらのサポートも生きた。研修を受けた側も研修を行った側も、組織として強まるうれしい結果に。
ゴルフ場で社員研修、広がるかも!
週刊ゴルフダイジェスト2021年8月3日号より