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【林家正蔵の曇りのち晴れ】Vol.268「コロナ禍での変化」の巻

ILLUST/アオシマチュウジ

コロナ禍で久しく会うことのできなかった友人とゴルフに行くことに。メールなどで連絡は取り合ってはいたものの、直接顔を合わせるのは約2年ぶりでした。2年もあれば人は変わるものですが、このご時世、思わぬ変化をしていた友人たちに驚かされました。仕事の仕方も人との距離感も接し方も変わり、なかには人生が変わってしまうような決断をした友人も。かなり驚いてしまいました。

久しぶりのゴルフ
景色だけでため息が漏れる

雨が数日降り続く中、隙間を縫うような晴天にゴルフに行く。最高気温24度の予報は、文句なしのゴルフ日和だ。

ともに回る4人のうち、友人2人は仕事の都合もあり、ゴルフ場に隣接しているホテルに宿泊している。

前夜に電話をすると、おとなしく夕飯を食べ、近くのコンビニで缶ハイボールの濃いのを2缶買い込んだそう。テレビで「ニュースウォッチ9」を見ながら、早めにベッドにもぐりこむと言っていた。

その友曰く、「ニュースウォッチ9」の女性キャスターは、NHKの女子アナの中でも、とても魅力的なんだとか。慌ててチャンネルを「1」にして確かめてみる。どうやら私と女性の好みがかぶることがわかった。凛として、目元がキリッとしている。これからは毎晩見ようと思う。

もちろん、コロナ対策を万全にしてゴルフ場に向かう。平日の朝とあって高速道路も空いており、予定よりも早く到着することができた。

早めに着いたので、朝食をとるためにレストランへ。

トーストに目玉焼き。目玉焼きの焼き加減は好みに合わせてくれるらしく、白身はパリパリに焼いてもらい、黄身はレアに。フォークでつつくと黄身がトロトロ流れ出すくらいにリクエスト。タイ料理のガパオライスにのっている、あの感じにしてもらう。そして、ソーセージとサラダ、飲み物はトマトジュース。食後のコーヒーはホットで頂いた。

久しぶりのゴルフ。窓からの新緑と、その向こうの山々に心洗われる。

その光景を見ただけで、「あー、来てよかった」とつい言葉が漏れる。友は、「おいおい、これからラウンドするんだぞ。そのセリフはホールアウト後にとっておけよ」とたしなめられた。

2年ぶりの邂逅で
ラウンド前に近況報告が始まる

それから少しして、宿泊組の友人2人と合流した。

この2人とは、コロナ禍になってからメールでのやり取りはしていたものの、会うのは2年ぶりくらいになる。

顔を合わせるなり「やぁー」と言って、ゲンコツタッチ。驚いたことに、Y君は髪の毛がさっぱりなくなって、スキンヘッドになっていた。

「一体どうしたの?」という私の表情を読み取って、話し始める。

「なんかコロナの間に、カツラを取ってみようかなという心境になってさ。この時代、表に出ることが少なくなって、リモート会議のときにだけつけているのも、なんだかモヤモヤしちゃって。もう面倒だから、いっそのことスキンヘッドにしちゃったんだよ」とのこと。

前よりも格段に楽になっただろうと尋ねてみた。「いきなりこの頭でリモート会議に出てみたから、変わり様にみんなビックリ。だけど、最初こそヘェーと驚いても、すぐに皆も慣れたらしい。直(じか)に会ってジロジロ見られるよりも、かえってリモートのほうがよかったかもしれない」と友人は話す。

ヒゲばかりでなく、毎朝頭までキレイに剃り上げるのが日課になっているそうだ。そんな彼はキリッとした目鼻立ちをしているので、スキンヘッドがよくよく似合っていた。

「コロナの時代」には、いろいろな変化があるものだ。

ゴルフのスコアも波に乗りたい… …

サラッと言われた報告に
一同ビックリしてしまう

もう1人の友人に、「何か変化はなかったのか」と尋ねると、「トイプードルを飼い始めた」という。確かにニュースなどで、ペット需要が伸びていると聞いてはいたが……。

待てよ! こいつは俺が犬を飼い始めたとき、「犬にかまっている時間があったら、ゴルフの練習に費やしたほうがよっぽどいいや」などと高言していやがったじゃないか! と思い出す。

少々腹が立つものの、目じりを下げて可愛いトイプードルの動画を見せてくれる、そのうれしそうな友の姿に、犬好きの私もなんだか楽しくなってしまった。

もう1人の友人は、「そう! 俺、離婚したよ」。一同ビックリ。「嘘だろ」とも言えず、ただただ驚くばかり。

彼は会社経営をしていて、あちらこちらとけっこう海外出張も多く、いわゆる、世界を股にかけて仕事をしている人だった。子供はいないが奥さんは美人で、仲もいいと思っていたのに。

「やっぱりさぁー、コロナ禍でずーっと家にいるとね。今まで2人でいる時間が少なくて、それに慣れていたものだからさ。四六時中一緒にいると、お互い息がつまるのかなぁー。向こうも仕事をしているし、別に一緒に暮らさなくてもいいか、みたいな感じね。嫁さんは実家に戻ってそれっきり。離婚届も先週出したよ」と寂しそうに笑っていた。

「お前はどうなの?」と言われ、コロナで延期やキャンセルの公演はあるものの、毎晩、母と嫁と娘と犬2匹に囲まれて、仕事場と家との往復に喜びを感じている。

たまのゴルフとタカラヅカ。

「宝塚はいいなぁー」などと言いそうな友人たちには通じないことはわかっているので、「別にないなぁー」とはぐらかしておいた。

友人の 「離婚したよ」に ただただ驚く

月刊ゴルフダイジェスト2021年8月号より