【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.927「ゴルフに絶対はないからもっと練習したくなるし、面白い競技だと思います」
岡本綾子「ゴルフの、ほんとう。」
米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。
TEXT/M.Matsumoto
>>前回のお話はこちら
- 米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。 TEXT/M.Matsumoto >>前回のお話はこちら ゴルフだけでなく仕事も恋愛も情報過多の時代。 行動より理論武装から始める人が増えていると思います。 感じることがなおざり……
トーナメント中継を見ていると、ラインが難しい場合に解説では「ここは距離合わせですね」と言うことがありますが、どんな状況でも100パーセント入れにいきたいと考えるのは無謀なことなのでしょうか。(匿名希望)
今年のソニー日本女子プロゴルフ選手権、優勝争いは最後の最後まで面白かったですね。
なかでもプレーオフで山下美夢有選手が競り勝ったのはさすがでしたが、最終日トップでスタートした勝みなみ選手が終盤の短いパットを外して勝機を逃した場面が印象に残りました。
パッティングは、それだけ勝負の行方に大きな影響を及ぼすということを改めて思い知らされたと言ってもいいでしょう。
9月中旬時点での勝さんの米ツアーでのスタッツを見たら、平均パット数では28・13で堂々の1位にランクされていました。
その勝さんでもプレッシャーのかかる選手権では、1メートルほどのショートパットを、それも3度も外してしまったのですから、パッティングとは恐ろしいものです……。
試合後の本人も「前半の6番ホールで短いバーディパットを外し自信をなくしてしまった」と語っていましたし、13番、17番でのパーパットを決められなかったことが直接の敗因になったのは明らかです。
すべてのパットを一発で沈めにいくことは無謀ではないかというご質問ですが、すべてのパットを入れるつもりで打つのは個々人の自由です。
ただし問題は確率です。パッティングが成功するには、距離感と方向性、いわゆるライン取りの2つがかみ合わなければなりません。
この2つの要素が上手く合致して、パットはやっと成功します。
どちらか一方を誤っていれば失敗しますし、両方違っていたらなおさらカップに沈めることはできません。
失敗率は2つの掛け合わせで大きくなるため、入る入らないの五分五分よりもずっと分が悪いからパッティングは難しいのです。
よくこの距離なら絶対入ると口にしますが、人がやることですから「絶対」はありません。
ショートパットをミスするのは勝さんでなくても起こり得ます。 だからこそゴルファーは練習するのです。
練習するといっても、可能な限り目標に向かって真っすぐに転がる再現性の高いパッティングができるように、気の遠くなるほど繰り返し練習する以外にパットの正しい練習法はありません。
実際のパッティングは、自然条件などさまざまな状況に応じてストロークします。
ターゲットをどこに取るべきかを決めるのはラインを読む技術です。
この精度を高めていくには経験を積むしかありません。
数多くのグリーンでの経験だけが、あなたのラインを読む力を鍛え上げてくれるのです。
スコアカードを見てもショットと同じ比重でパット数が記載されることが分かります。ところがアマチュアの方々の多くはショットとパットの双方に同じだけの練習時間を割いていないことが多いのではないでしょうか。
そこにもパッティングを難しいと感じさせる要因があると思います。さらには狙ったところへ正しくフェース面を向けているつもりなのに、実際は違う方向にフェース面を向けていたため誤った方向へ転がり出すこともあります。
打ち間違いなのか読み間違いなのか、それとも両方なのか……。
ちなみにミスパットしたプロは打った瞬間からミスの原因を分析します。プロは悩む時間があれば考えるという習性を持っています。
繰り返しになりますが「絶対入れる」または「100パーセント入る」と心に期すのは個人の問題ですが、現実は本人の意思や願望とは無関係に決まったり外れたりすることもあります。
ゴルファーはできるだけその確率を高めることに努めるほかありません。
距離が短ければ入る確率は上がりますが、外した時の落胆は大きくなる。
長いパットが決まればうれしいけれど、だからといって次も同じように入るとは限らない。
ゴルフに絶対はない、だから面白い!と考えるともっと楽しくプレーできるようになるし、もっと練習したいと思うようになりますよ。

「ミスして悩む時間があったら考える時間に切り替えよう!」(PHOTO by Ayako Okamoto)
週刊ゴルフダイジェスト2026年10月20日号より


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