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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.904「2インチ切ったシャフトに砂を詰めたり、パターもいろいろ工夫してきました」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


パッティングの際、体が動くと注意されます。筋力の問題でしょうか。腹筋に力を入れるとか背筋や大きな筋肉を使って打つという情報も目にします。岡本さんはパッティングでどこの筋肉を意識しているのでしょうか。(匿名希望・44歳)


ボールを飛ばすショットと正確にズレなくヒットするパッティングでは、体の動きや意識も違うため、別物と言われているのかもしれません。

特にパッティングは、緊張下でのデリケートな感性が問われ、アドレスしてからボールを打ち終えるまで前傾姿勢を保たなければならずかなりの負担を感じます。

そのため腰痛を抱えるプレーヤーにはパッティング練習は正直つらいものがあります。

わたし自身、腰椎ヘルニアで一時リタイアを強いられた腰痛持ちの身です。

腰の負担を減らそうと、長尺から中尺パターも試してみはしたものの上手くいかず、たどり着いたのは、実は従来使っていたパターのシャフトを2インチもカットした「短尺パター」でした。


練習では何度も前傾姿勢になるため大きな負担がかかりますが、その際の痛みや窮屈さ、圧迫感といった負荷をあらためて検証してみたところ、わたしの場合、中途半端な屈み具合で構えるよりも深い角度で前傾したほうが負担は軽く感じることが分かったんです。

そこで2インチ切って31インチに縮めたパターを使うようになったのでした。

しかしシャフトを切ることによって打感やクラブバランスが変わってしまいます。

短くなれば、重量が軽くなりシャフトの硬さも変化して、打ち出すスピードや距離感も変わってきます。

2インチ短くしたことによって出てきた変化を以前のフィーリングに戻す工夫が必要になり、シャフトの中に砂を入れて重くしてみたり、砂だと比重が大きすぎるからと塩を詰めてみたりといろいろ工夫しました(笑)。

同時にストロークそのものを見直すことも行いました。アドレスでは重心を右に置くのか左なのか、つま先なのかかかとのか……。

はたまたシューズの中で足指は丸めるのか伸ばすのか?

パットに形なしと言われますが、パッティングの成否は身体能力によって制限されるものではなく、いい意味で我流が複合されて作り上げられているものだと思います。

そういう意味で、筋力がパッティングに与える影響はほとんどないと考えていいのではないでしょうか。 どこのどんな筋肉を使っても構わないとわたしは思います。

少なくともわたしはパットする時に、今どこの筋肉を収縮させて伸ばそうとしているかなどとは考えていません。

意識の中にあるのは、フェースがボールに当たる瞬間のヘッドの出方、そしてボールがどんな転がりをするか、両肩幅の間でヘッドがどう動いているか、フェース面とグリップの関係がどうなっているかというイメージをしています。

ですので、筋肉、筋力は無関係です(笑)。

パッティングやアプローチでは、手に持ったボールを下手で投げる感覚でイメージすることを勧められます。 それだけ日常的な動作と親和性があると考えられているわけです。

当たり前の動きをするときに、たとえば階段を上る際、自分の筋肉がどう作用しているか考えませんよね。パッティングで大切なのは、狙いを決めアドレスしたらストロークを行うのに必要な動き以外はしないことです。

スタンス、ひざ、腰のラインなどスクエアに保ち、ヘッドの上下左右のブレを抑え、地面と水平に真っすぐテークバックし、そのまま目標に向かって真っすぐ前方にストロークする。

筋力が必要とされるとすれば、余分な動きを抑え維持する体幹を支える筋力だと思いますが、どこの筋肉がそれをするのかよく分かりません(笑)。

そういえば、以前ひざを痛め入院していた時、リハビリの指導をしてくれた先生が「お尻をキュッと締める感じで股関節を動かすようにしてください」と教えてくれたことがありました。

最初はまったくできませんでしたが、徐々に足の動かし方の感覚が分かってきました。とはいえ筋肉の存在を意識せず体を動かせることが一番いいですけどね!

「成長したい気持ちがあるのならば常に考えて試し続けることです」 (PHOTO by AYAKO OKAMOTO)

週刊ゴルフダイジェスト2026年4月21日号より