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【ゴルフせんとや生まれけむ】ちばてつや<後編>“チャーシューメーン”誕生のきっかけは?

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、前回に引き続き漫画家のちばてつや氏。

>>前回のお話はこちら

私のスコアはね、コロナで一時期やめてから「百獣の王」になって、ヘタをすると120叩くこともあった。最近、少しずつ復調気味で、平均すると105前後かな。やっと百獣の王に勝てるようになった(笑)。

使っているクラブはバラバラ。ドライバーはもらいものだし、3Wはさいとうたかをさんの形見分け。SWは弟のあきお(漫画『キャプテン』の作者)のお下がり。得意クラブは9Wかな。3Wが飛ばなくなって3打目に110~120ヤードの距離が残る。昔は9Iの距離だったんだけど、いまは9Wをよく使う。だから、いつの間にか得意になった(笑)。

そうだ、若い頃の話だよね。前回話したように、ゴルフを始めたのは早かったけど、ラウンドは年に5~6回だけ。それがあるときから月イチペースになった。

きっかけは手塚治虫先生が亡くなったこと。手塚先生は、自身、医者で健康にも注意していたから、61歳で亡くなるとは誰も思わなかった。で、お通夜の席でみんなが「漫画家は運動不足だから短命なんだよ。手塚先生が亡くなったのは、もっと運動しなさいと教えてくれているんだよ」という話になり、「じゃあ月1回ゴルフコンペをやろう。締め切りに追われて行けないなんていうのはダメ。誰もが追われているんだから、そんな言い訳は許さないぞ」と決めて『イージー会』という名前をつけた。


「いい加減」のeasyと「いいジジイの集まり」で命名したんだけど(笑)、石ノ森章太郎、藤子不二雄A、さいとうたかをさんらが中心になって、毎月、よみうりGCでやるようになり、この頃から漫画家の間で一気にゴルフが流行ったんです。

あと、ゴルフ漫画の『あした天気になあれ』でも忘れられない思い出があってね。スウィングはリズムが大事っていうけど、それをどうするかがわからない。そしたら、弟のあきおを教えていたティーチングプロがこんな話をした。たまたま女性のゴルファーが増えてきた時期でね、男は子供の頃から野球をやっていて振り方はわかるけど、女性にはテークバックや切り返しのタイミングが上手く伝わらない。そんなときに「チャーシューメーン」と教えると理解が早いと言うんで「それ、いただき」と(笑)。

そしたらアッという間に日本中のゴルファーがチャーシューメーンと言うように広がって、あれは嬉しかったな(笑)。私は今もやっているよ。アマチュアのミスはだいたい打ち急ぎだから、「チャンポンメーン」じゃダメ。「チャアーシュウー」でゆっくり振り上げ、「メェ~ン」で大きく振ることが大事でね。

ゴルフ漫画を描こうと思ったのは、ゴルフって理屈はわかっても、実際には思い通りにいかないでしょう。だから漫画で、こんなことできたらいいなと。バンカーから一発でピンそばにつけるとか、木と木の間の10センチ幅を通してカップインするなんて、現実にはなかなかできない。漫画ではそれができちゃう。それが私のストレス解消(笑)。だから漫画を描くときは自分がプレーしている気になっていた(笑)。漫画もゴルフもふらふらヨタヨタだけど87歳になっても続けられる。本当にいいものに巡り合ったなと感謝しています。


ちばてつや


昭和14年生まれ。東京都出身。漫画家。高3の17歳で漫画家デビュー。代表作に『あしたのジョー』『のたり松太郎』など。ゴルフ漫画の『あした天気になあれ』では“チャーシューメーン”が話題に。文化勲章などを受賞。文化功労者

週刊ゴルフダイジェスト2021年6月1日号より