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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.258 ゴルフの神髄は「飛ばなくなったらわかる」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Anezaki Tadashi

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  • 高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。 PHOTO/Yasunari Okuda >>前回のお話はこちら 1993年に琵琶湖CCの日本オープンで優勝した時は「クラブを感じて振る」、それだけをやり続けて回った結果、勝てたんです。無欲の勝利みたいなもんです……

私が試合に出始めた頃、ペプシ宇部という試合で、パッティンググリーンでひげを生やしてサングラスをかけた物静かなプロが練習していて、挨拶すると「おはよう」と返してくれました。

ほかのプロとは全く違う雰囲気を持っていて、何か知らないけどカッコイイと感じる人で、知り合いのプロに聞くと鈴村久さんで「“きゅう”さん」と呼ばれているということでした。

ショットを見にいくと、静かな低い球を打たれてたのを覚えています。後日、(高松志門)師匠に聞くと「久さんはいぶし銀のプロやで!」と絶賛されてました。


この40年間、お話をしたことはなかったのですが、去年の11月に同じ名古屋のプロである桑原克典プロの計らいで、鈴村久さんと一緒に食事をしてお話しすることができました。至福の時間で、昔話をたくさん伺いました。

私が「ゴルフの神髄とは?」と問うと、しばらく考えてから、「飛ばなくなったらわかるよ」というのが久さんの答えでした。力も技のうちでしょうが、それを取られたら何が残る? ということやと私は解釈しました。ここに隠されたことこそゴルフの神髄で、あるものでやり繰りしなければならない、それは万人に共通することです。

私が若い頃に憧れてたプロはリー・トレビノやチチ・ロドリゲスでした。久さんに、今まで一緒にラウンドしたなかですごいなあと思ったプロは誰かと伺ったら、なんと全く同じでした。カッコイイのがどこかで交わってるんです。嬉しさが込み上げてきました。「一芸は百芸なり」。一つの神髄がわかるとすべてができる。私の師匠を見ているとそう思います。その師匠から私はいろんなことを学ばせていただき、百芸はすべて違うと思い、日夜身につけるべく修業してきましたが、私なりの一芸にたどり着きませんでした。

手の内にある一芸を大切にして、あとは自身の感性を磨かねばなりません。そうすれば私のゴルフも広がりを見せてくれるでしょう。「この振りだ!」いう一芸を目指して皆様もゴルフに取り組んでみてはどうでしょうか。要らないものすべてを捨てて感性の鍛錬で! また一層ゴルフが楽しくなってきそうな気がします。

2026年も楽しみです。

“師匠”のゴルフ。「あるものでやり繰りしなければならない。これがゴルフの神髄です」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2026年1月20日号より