【イザワの法則】Vol.62「歩く筋力」はスウィングの土台になる! トレーニングよりも“カッコよく歩く”を意識してみては?
伊澤利光「イザワの法則」
誰でも、年齢を重ねるごとに少しずつ体は変化していく。その変化がスウィングに与える影響を最小限にするため、プロは何をしているのか。また、我々アマチュアは何をすべきなのだろうか?
TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

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- アマチュアとはレベルが違うが、プロにだってスウィングの悩みはある。そういうときに、どんな考えで練習に臨み、実際に何をするのか。スウィングを修正する上で伊澤プロが大事にしていることとは? TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM) ……
自重を使った
トレーニングのほうが
可動域が狭くなりにくい
この号が発売される頃には、シニアツアーは最終戦(いわさき白露シニア)を迎えていますが、シーズンオフのトレーニングをどうするか、実は少し考え中です。というのは、ウェイトを使って筋肉をはっきり大きくしたほうがいいのか、これまで通り、自重を使ったトレーニングを継続するほうがいいのか、ちょっとだけ迷っているんですね。
数年前に自重を使ったトレーニングに切り替えてわかったのは、この方法だと筋肉が太くなっても、可動域の制限をあまり感じないということです。それでなくても、年齢とともに柔軟性の部分はどうしても落ちてきますから、それに加えて可動域の制限があるのはプレーにとって大きなマイナスです。
その一方で、もしウェイトを使った筋力アップで飛距離が伸びたとしたら、可動域制限のマイナスがあってもそれを相殺してくれるかもしれない、という考えも浮かびます。どちらにするかは、ツアーの全日程が終了したあとで、少し休んでからゆっくり決めたいと思います。
柔軟性の低下の影響については、今シーズンはとくに試合中に感じることが多くなった気がします。平らなところは何も変わらないんですが、傾斜地でこれまでなかったようなミスが出ることがありました。とくに、「左足上がり」と「つま先下がり」ですね。左足上がりは、インパクトで下半身から浮いてしまって、こすって右に出ることがあります。これは、他の選手にも同じ傾向があり、アマチュアでも柔軟性が落ちてきたと感じたら、気をつけなければいけないミスのひとつです。
「つま先下がり」では、インパクトまで沈んだ体勢がキープしきれなくて、ハーフトップ気味に当たるミスが出ました。バンカーのつま先下がりで、ホームラン気味の球が何回か出たんですが、それも体が起きていたのかもしれません。
スウィングの土台となる
“歩く筋力”を鍛えよう
一般の中高年ゴルファーに「トレーニング」が必要かといわれると、競技ゴルフなどによほど真剣に取り組んでいる人以外は、必要ないというのが私の意見です。普通のアマチュアにとって、ゴルフは「遊び」だから楽しいのであって、その範囲で球を打つ分には「普通」の筋力と心肺機能があれば十分です。
ただ、少なくとも18ホールを歩いてプレーできるくらいの体力は維持しておきたいところです。実際にはカートに乗ってプレーするとしても、歩く筋力というのはスウィングの土台にもなるものなので、ちょっと歩いたらすぐに疲れてしまうとか、猫背になったりして歩き姿がカッコ悪いのはよくないです。私自身も、プレー中は常に背筋を軽く伸ばして、スッとカッコよく立つ、歩くを心がけています。もちろん見栄えの問題もありますが、そうすることでアドレスに入ったときの姿勢が決まりやすいからです。普段、ほとんど歩く習慣がないという人がいたら、このオフからは少しだけ意識して、歩く機会を増やしてみるのはどうでしょうか。

トレーニングは歩きで十分!
シニアでも長く活躍しているプレーヤーは、一様に歩き姿が美しい。逆説的に言うと、美しい歩き姿が維持できなくなったら、それまでと同じスウィングをすることも難しくなるということ。もちろん、「見られる意識」もプロの歩き姿には影響している

伊澤利光
1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中
月刊ゴルフダイジェスト2026年1月号より


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