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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.246「バッターよりもピッチャーが上手いといわれる理由は?」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Tadashi Anezaki

>>前回のお話はこちら

先週は、日本シニアオープンに出られた原(辰徳)さんの話をしましたが、これまでに元プロ野球選手の人と回ったことはけっこうあります。

15年ほど前に牛島(和彦)さんや、今、マルハンカップなんかに出ている谷繁(元信)さんや前田(智徳)さんなどは上手いですよ。宮本(慎也)さんとも回りましたけど、野球選手時代のプレーの感じと違うイメージもあります。野球やったらこういうプレースタイルやったいう印象があったのに、ゴルフでは逆やという人はけっこう多いんやないでしょうか。

元ジャイアンツの水野(雄仁)さんなんかは、現役時代の印象はものすごい豪速球投手やったけど、ゴルフのプレーではパターが上手いなんて。そういうギャップを感じることは多々あります。でも基本的に野球人は体が強いですよね。それでみんな飛ぶ。


バッターとピッチャーやったら、ピッチャーのほうがゴルフは上手いと言いますよね。これは、ピッチングいうんは緩急をつけて投げるやないですか。160キロのストレートボールをバンバン投げ続けていたら、いずれ打たれるわけですよね。速球とチェンジアップなんかの速度差をつけることで打者のタイミングを外していくんが巧みなピッチングで、この緩急いうものがわかる人、つけられる人はゴルフも上手いです。

ゴルフ自体がそういうゲームですからね。どうやってボールを止めるかというんが一番の王道なので、そこの着眼点があると、上手くなっていきます。

ところがやっぱり距離に走るんですよ。340ヤード飛んだら、380ヤード飛んだら、世界を牛耳れるように思うんやろね。プロ野球のバッターなんかは当たれば飛びますから。そら飛ばしに走ります。そこがバッターとピッチャーの違いです。

一般のアマチュアの人なんかにも同じことが言えます。ドライバーはいつもマン振りで、アイアンも常にフルショット、アプローチはどこでもピッチ&ラン、こういった一本調子の人は上手くなりません。

フルショットとコントロールショットで距離の差を出せる練習を普段からやっていて、打ち方に緩急をつけられる人は上手くなります。

「一本調子やなく、打ち方に緩急をつけられるとエエですね」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2025年10月21日号より