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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.243「インドアは“ゴルフのようなもん”」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Yasunari Okuda

>>前回のお話はこちら

新型コロナウイルスが流行っていた頃に多くなったインドアゴルフスタジオですが、爆発的なブームはひと段落したものの、相変わらず人気があると聞きます。

東京では都心部のオフィスビルの中やタワマンの住民向けの娯楽施設として備えていたり、住宅街にもあったりする。もちろん大阪でもけっこうよく見かけます。個室で、初心者とか女性とか人目を気にする人によいとか、サブスクで携帯でピッと入れて昼でも夜中でも予約が取れればゴルフができるところが人気やと言いますね。

ただ、僕なんかが思うんは、今年の夏は特に、この猛暑の中、エアコンがガンガン効いた室内でゴルフのようなもんができるというのが最大の人気のポイントやと思います。


ゴルフのようなもんなどと含みのある言い方をしたんは、ゴルフというものは外でやるものやからです。

インドアゴルフというんは、僕に言わせればインドアでやるゲームですからね。ゴルフもゲームやけれど、自然の中でやるいうことが大前提ですから。それを一緒にしてもろうたら困ります。

だから、インドアゴルフのシミュレーションでどんだけのスコアで回ったとかいうても、それはゴルフのスコアがよくなったというんとは、ちょっと違うなと思いますよね。

エアコンの効いた部屋で球を打つんは涼しくてそら快適やけど、コースでは汗びっしょりで頭もボーっとした中で球を打たないといけないわけで、結果は違います。そんなわかり切ったことを何で言うんかというと、ゴルフは何が楽しいかっということなんですよ。

レーザーの距離測定器なんかはあってもよいとは思います。昔から153ヤードのパー3といった看板はあったわけやしね。

でも、目から入った情報を受けた脳が、このくらいの距離やなと思うて指令のパルスを神経を通じて発し、それが筋肉に伝わり手が動くわけで、この繰り返しでしか距離感は身につかんわけですから。

昔はカートすらなかった。あんな坂をおじいちゃんたちが歩いて上がってたんやなあと考えると、しんどかったやろなと思う。けど、それもゴルフなんですわ。

「僕は、ハイテクをどんどんなくしていったほうがゴルフの楽しさは残ると思うてます」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2025年9月30日号より