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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.240「ルーティンって必要ですか?」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Yasunari Okuda

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  • 高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。 PHOTO/Hiroyuki Okazawa >>前回のお話はこちら 山下(美夢有)さんが女子ゴルフの今季メジャー最終戦、AIG全英女子オープンで優勝しました。これで春のメジャー初戦のシェブロン選手権で優勝した西……

プロゴルファーで試合前のルーティンを決めているという人がいますが、僕はそういうもんはまったく決めていません。

レギュラーツアーに出ておった頃は、だいたい試合の1時間前くらいには会場に着いて、40分前くらいから練習を初めて15分くらい球を打って、それで20分前にトイレに行ったりして出ていくいうふうにはしてましたね。

たとえば、スタート15分前にゴルフ場に着いたとしたら、そらちょっと慌てるやないですか。まあ練習はせんでも、レストランでコーヒー1杯飲むくらいの余裕は欲しいですよね。それをルーティンいうんかはわからんけど、時間を持て余すんがイヤやからというのが理由で、それでいい成績が出るとかそういうもくろみは持っておりませんでした。


まったく練習をせんと出ていって優勝した試合もありましたしね。海老原(清治)さんなんかもそんな感じですわ。たまに、スタート前に練習場に来ることはありますけど、「おまえ最近どう?」って、しゃべっているだけでほとんど球なんか打ってませんから(笑)。

忘れもんしてロッカーに戻るいうことはよくあるけど、それはルーティンとか言わんですわな。とにかく、ルーティンは1番ホールのナイスショットと何の関係もないと思っております。

普段通りの流れで進行することで、緊張感を緩和するとか、スムーズにスタートするいう人もいますけど、でもそれで予選落ちするケースもあるやろうし、あんまり関係ない思います。

逆に、自分で決めておるルーティンを1回破ってみて、それで自分のゴルフがどうなるかということをやってみたらいいですよ。

朝、一発も球打たんとスタートしてみたらすごくいい球が出ることもあるやろうから、1時間半前にゴルフ場に着いて、散々球を打ってスタートしたときと、どっちが結果がよかったかを比べたらええと思いますね。

優勝争いの前の日は肉を食べるとか決めておる人もいますけど、好きなものを食べたほうがよっぽどメンタルは充実すると思います。

だから僕はジンクスもないし、神頼みもしません。ここ数年、暮れにご先祖様に感謝を込めて墓参りをして一年間の報告はしますが、お願い事は一切していません。

「要は、ルーティンに“縛られる”いうんがよくないんでしょう」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2025年9月9日号より