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【名手の名言】ジャック・ニクラス「私のコース設計理念は3つ。第1はパワーより正確さを競うべき。第2は筋肉より頭脳を使うべき。3つ目は……」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は“帝王”ことジャック・ニクラスの含蓄のある言葉を2つご紹介!

ジャック・ニクラスが日本で最初に設計したニュー・セントアンドリュースGCジャパン。ニクラス自身が「少しハードにしすぎた」と語るほどの難ホールが連なる


私のコース設計理念は3つ
第1はパワーより正確さを競うべき
第2は筋肉より頭脳を使うべき
最後の3つ目は自然を可能な限り
損なわないことだ

ジャック・ニクラス


帝王・ニクラスは現役時代からコース設計を手掛け、自分がオーナーであるミュアフィールド・ビレッジGCは都市空間設計家のデズモンド・ミュアヘッドと組んで完成させた。以来、世界中の大地に表題の理念を刻み続けていて、この世界でも帝王と呼ぶべき実績を残してきた。

前2つの理念は、全米オープンが開催されるコースセッティングが前提にあるのだろう。最後のひとつはスコットランドのリンクス。神が造りたもうたコースは、ほぼ人の手が入っていない。これを理想としていて、あるところでは「ロケーションがいちばん大事」といったこともある。

このニクラスの設計理念を味わいたければ、ニューセントアンドリュースGC(栃木県)か、北海道クラシックGCでプレーするといいだろう。


これはメジャーのゴルフトーナメントで
有名人の顔見世興行ではない

ジャック・ニクラス


かつてニクラスと呼ぶときには、必ず「帝王」との冠詞がついた。完璧主義者であった。今もメジャータイトル獲得数、18勝の記録は破られていない。

そんなニクラスが05年、65歳のときに、歴代優勝者の資格で出場してきたマスターズと全英オープンを引退すると発表した。そのときの「言葉」が表題のそれだ。

そのあとに続く「言葉」を要約すると――。

「もしこのメジャーでプレーするなら、他の出場者と争えるだけのものがなければならない。もうタイガーらとは争えない。このコースは難しすぎる。年齢を経るということはこういうことなんだろう。今年、ここに来たのは何とかラウンドをこなし、楽しんで、みんなにちゃんとしたお別れを言うために来たんだ」

これはニクラスが出場しなければ、もう1人の出場枠があるわけで、若いプレーヤーにチャンスを与えるという意味もあろう。そして何よりメジャータイトルに情熱を燃やした男として、メジャーそのもののプライドを傷つけてならないとの思いであったのだろうと推察する。

■ジャック・ニクラス(1940年~)

米オハイオ州生まれ。10歳でゴルフを覚え、12歳から5年連続で州ジュニア選手権に優勝し、神童と呼ばれる。その後全米アマを2度制し、61年にプロ入りした。その翌年、全米オープンに優勝するが、当時のヒーロー、アーノルド・パーマーを破っての勝利と太めの体格のためか、敵役となる。その後巨漢からスリムへ、GIカットから長髪へイメージチェンジを果たし、帝王と呼ばれるようになる。ツアー73勝。なかでもメジャー18勝の記録は未だ破られず、メジャーでの2位も19回と圧倒的。グランドスラマーであり、殿堂入りも果たした、20世紀最高のゴルファーである。

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