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【江連忠のPROJECT E】Vol.257 ウォルター・へーゲン「腕がシャフトの一部のようにしなっている」

片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Getty Images THANKS/オーシャンリンクス宮古島

>>前回のお話はこちら


●今月のレジェンド●

ウォルター・ヘーゲン

1892年米国生まれ。米ツアー45勝、メジャー11勝。ツアーの賞金だけで生計を立てた最初の人でプロゴルファーの地位を確立させた功労者。


非力な人やシニア層が
見習うべきスウィング

20世紀初頭の選手なので動画や写真など資料は少ないですが、この連続写真からでも十分にヘーゲンの強さは伝わってきます。

当時のクラブはヘッドが重くてシャフトが軟らかかったので、力任せに振ることはできず、クラブの動きを邪魔しないことが重要でした。

ヘーゲンはその軟らかいシャフトのしなりを最大限に生かしてエネルギーに変えるために、自分の腕もシャフトと同化させてしならせるように振っています。


腕が柔らかいから手首やひじの角速度を使えるのですが、そのためには下半身から順番に関節を動かす必要があることを証明しているスウィングです。

僕がとくに好きなのは始動の部分。体の内側から始動してクラブは後からついていくから、バックスウィングでも遠心力が使えています。

最初から最後まで腕の力でクラブを振っていないため、写真からでも動きの滑らかさやリズムの良さが感じられます。

上のアドレスの写真も体のどこにも無駄な力みがなく、それでいて全身で狙っている雰囲気が満載で素晴らしい。いつまでも眺めていられます。

道具の進化によってパワーゴルフの時代になりましたが、それはプロの世界のこと。

筋トレや練習に時間を割けないアマチュアや、筋力が低下してくる50歳以上の人は全員ヘーゲンのスウィングを見習うべきだと思います。

クラブは自分で下ろさず後から下りてくるのを待つ

シャフトのしなりを生かすには腕の力でクラブを振り下ろさずに、下りてくるのを待つことが必要。女性用の軟らかいシャフトなどで練習すると、その感覚がつかみやすい。下半身リードもクラブをしならせる条件となる

ウォルター・ヘーゲンの系譜を継ぐのはこの選手

松山英樹

ヘーゲンのスウィングをコンパクトに締めた雰囲気
しっかり体を使い切る現代のパワーゴルフプレーヤーだが、切り返しからフィニッシュまでの動きが似ている。ヘーゲンが現代のクラブを使ったらこう振るだろうという印象

江連忠

江連忠

1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた

月刊ゴルフダイジェスト2025年3月号より