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【江連忠のPROJECT E】Vol.256 コーリー・ペイビン「クラブを手のように操る“手打ちの職人”」

片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara、GD写真部 THANKS/オーシャンリンクス宮古島

前回のお話はこちら


●今月のレジェンド●

コーリー・ペイビン

1959年米国生まれ。全米OPを含むPGA15勝。海外12勝。1991年はPGA賞金王も獲得。175cm・70kgの華奢な体でノーマンやファルドなど大きな選手を撃退していた


飛距離を求めずに
球を狙い打ちしていた

ペイビンを知っている人は“フェード一辺倒”という印象があるかもしれませんが、ひとつの球筋だけでPGAツアー15勝はできません。

必要な状況ではドローも打っていたし、いろいろな球を打ち分けていました。

ただし「高い弾道」と「飛距離」だけは彼の辞書には載っておらず、これを追い求めることはしていませんでした。

パワーのない華奢な体で戦うためにはそこで勝負はせずに、「狙ったところに球を点で止める」ことを徹底したのです。


“狙い打ち”をしていたことが表れているのが、フィニッシュまでクラブを完全にコントロールしているところ。インパクト後は脱力して遠心力を生かした大きなフォローになるのが理想ですが、ペイビンは最後まで力を抜かないからフィニッシュがコンパクト。

そのため低い弾道しか打てませんでしたが、そのショットは完全にコントロール下にあったのです。

バックスウィングが手上げでひざが流れるし、オープンフェースだからローテーションが大きく、プロには珍しいくらいの手打ちではありますが、歴史に残る職人でした。

力まない手打ちなら練習を積めば自分のものになる

アマチュアの手打ちは、手、腕、肩や首までが過剰に力んで、体の力より勝ってしまっている状態のスウィング。これではパワーが全く生かされずクラブの動きも安定しません。一方でペイビンは体の運動量よりもクラブ、手、腕の運動量が多いタイプの手打ち。体の運動量が少ないから当然パワーも不足して飛距離は出ませんが、腕の振り方の再現性が高ければ武器にもなりえるということ

コーリー・ペイビンの系譜を継ぐのはこの選手

杉原輝雄

身体が小さいからこそ”我流”を貫く強さを持てた
ペイビンとスウィングは違うが、小さい体で飛距離を求めずに我流のスウィングで戦ったという面では同系統のゴルファーといえる。周りに何Yも置いていかれても、自分のスタイルを貫き通すメンタルの強さも似ている。

江連忠

江連忠

1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた

月刊ゴルフダイジェスト2025年2月号より