【ゴルフせんとや生まれけむ】岩崎恭子<前編>「全盛期のタイガーを目の前で見たことがあります」
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、元オリンピアンの岩崎恭子氏。
体力はあっても泳ぐこと以外の運動神経がすごいわけじゃないんです(笑)。ゴルフも「趣味です」と言えるほどの腕前ではなくて、ベストスコアも100をやっと切った96です。
ゴルフを始めたのは大学を卒業した後です。その頃はすでに競技から引退していたのですが、現役時代からずっとお世話になっていた方に「指導者になるにしても解説者になるにしても、ゴルフをやっておいたほうがいいよ。世界が広がるから」と勧められて始めました。
その方には、ゴルフの技術はもちろんですが「グリーンの上では走らない」とか、「スロープレーで後ろの組に迷惑をかけない」とか、マナーやルールを徹底的に教わりました。おかげでスコアは大したことはありませんけど、マナーだけはシングルプレーヤー級かもしれません(笑)。下手なのに、いろいろな方に「ゴルフ行きましょう」と声をかけていただけるのが私の自慢なんです(笑)。
私は5歳から始めた水泳一筋でしたが、実家(沼津市)の周りにはゴルフ場がたくさんありました。通っていたスイミングスクールにもゴルフレンジが併設されていたり、知り合いがキャディさんだったりして、ゴルフは身近な存在でした。そして、実際に自分がやるようになったら、楽しくて練習にもまめに行くようになりました。
水泳をやっていた時も1人でコツコツとストイックに練習するのが好きだったこともあるのですが、それに加えてゴルフの練習って自分の好きな時にフラッと行けるのがいいじゃないですか。人に合わせなくてもいいですし。ただ、我流でやるのは好きではないので、練習場にいたプロのレッスンをできるだけ予約して、教えていただくようにしました。基本の「キ」から教えていただいたんですが、その時アドバイスされたことで「トップはコンパクトに」というのがありました。これは“水泳選手あるある”かもしれませんが、肩の可動域が広すぎて回りすぎちゃうんです。
ゴルフを始めて1年ぐらいして、オリンピック委員会の指導者研修生としてアメリカに行くことになりました。アメリカでは休みの日にはゴルフをやっていましたが、私は自然豊かなゴルフ場にいるだけで気持ちよくて満足してしまうのか、うまくなりたいという欲がほとんどないんですね。なので、スコアはその時も今も110前後を行ったり来たり。それでもゴルフって、こんな私でもたまーにバーディが取れちゃうから楽しいんですよ。
アメリカといえば、向こうにいる時、全盛期のタイガー・ウッズを目の前で見たことがあります。確かペブルビーチの試合だったと思うんですけど、一緒に行った方が「タイガーのショットは曲がるからこの辺で見ていよう」と言うので「こんなところで?」というようなところで待っていたら、本当に私たちのところに飛んできたんですよ。生で見るタイガーは体が大きくて、全身からオーラが出ていて、より大きく見えました。ドキドキしながら見ていたのを今でもよく覚えています。
岩崎 恭子
78年静岡県沼津市出身。92年、バルセロナ五輪200メートル平泳ぎで優勝。14歳と6日で金メダル獲得は競泳種目では現在でも史上最年少。現在は水泳インストラクター、スポーツコメンテーターとして活躍中。ベストスコア96
週刊ゴルフダイジェスト2024年8月6日号より