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【大人ゴルフの歩き方】Vol.40「競技ゴルフ続かず」の謎

スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。

ILLUST/Shinichi Hoshi

前回のお話はこちら


第40講 「競技ゴルフ続かず」の謎

①人生一度は競技をやってみよう
②競技の大義はどこにあるのか?


たまには緊張感のあるゴルフを

クラブメンバーとなり友達と親睦ラウンドをしている皆さん、それだけじゃもったいなくないですか? せっかくなのでクラブ競技に参加してみてはいかがでしょう。エントリーは簡単です。スコアを規定枚数出してハンディキャップを取得すれば、すぐ申し込めます。競技はOKなしで厳しいと思いますが、意外と皆さんのんびりしています。

というのも最初の競技は、ハンデ20前後からのBクラスでエントリーすることが多く、シングルさんはいません。どんぐりの背比べ状態ゆえ、和気あいあいでプレーが進行します。ルールやマナーは、初心者なのでと言っておけば、みんな親切に教えてくれます。

そして競技結果発表、不本意ながらなんと約50人中10位の成績、自分が思っていたよりも良い順位です。これぞ下手が有利なハンディ戦の妙というやつ。このからくりに気付き、頑張れば3位以内の入賞も夢ではないと思えました。生まれてから、スポーツで入賞したことのない文系おやじが目覚めた競技ゴルフ、まさに五十の手習いですね。


●OKなし

最初はOKの距離を打っても入らないことがあり精神的に参るが、それも慣れです。OKの駆け引きがない分、潔いかも

●ルール

覚えるのはOBやカート道路上でのボールの処置かな。迷ったら聞くことが大事

●ハンディ戦の妙

ハンディ戦って実は下手が有利な戦いなんですよ。それに気付くのが成績発表の時、だったらハンディキャップをもっと多めにしておけば、良かったって

●五十の手習い

ハンディ戦競技は50歳ぐらいから始めても楽しい。年老いても楽しめるスポーツってなかなかないですよ

競技ゴルフを続けるのは難しい

それでは競技に参加し、優勝できる確率はどれぐらいでしょうか。月例競技はクラスごとに分かれて行い、それぞれ約40~60名ぐらいが参加ですか。単純計算で5年間毎月出れば1回は優勝するかなと。実際はハンディがたくさんある1~2年目以内に優勝しないと、ほぼノーチャンスです。

つまり競技で優勝せずとも好成績を出していると、自ずとハンディが上がります。いたずらに2位3位に入賞していると、いつの間にかハンディ13ぐらいになり、そこから優勝の可能性はものすごく低くなります。

そこで現実修正主義に路線変更です。狙い目は祝日杯、土曜杯、平日杯などのユルめの競技です。のんびりした参加者が多く、しかもレギュラーティーからのラウンドが一般的なので、好成績が期待できます。

そして最終的にクラブ競技ではシングルの壁にぶつかります。今のハンディは自動計算ですが、たまにハンディキャップ委員会が意見する場合もあります。シングルにさせるにはもうひと月様子を見ましょうと。古い倶楽部はシングルの価値に重きを置いているんですね。

だからどのクラブでもハンディ10から13ぐらいの層が一番厚いです。そこでシングルになれず悶々としていると、今度はテンションが続かずマンネリとなります。目標を失ったアマチュアゴルファーは、中だるみし、もうこのコースでは勝てないと悟るのです。

そして新たに生み出した作戦は、新しく安い会員権を買い、またスコアをコツコツ出して、ハンディ20あたりからやり直すことです。これぞ秘技ハンディロンダリングなり。

そして新人のふりをして競技に出て、再度競技に燃え出します。だからワガママおやじは幾つもコースを持っているのです。いや~競技で勝つってなかなか難しいですね~。

●5年間

5年競技に参加して優勝しない場合は、今後の可能性は低いってことです。だからすごい上手いシングルさんでも優勝経験がない人はたくさんいる。ハンディ戦は運が左右するかも

●現実修正主義

競技に勝つにはコツがいる。参加者が少なめを狙う、レギュラーティーで打てる、強敵が参加しないなど条件を整えること

●シングルの壁

シングルになるには安定して80台中頃の成績を出さないと。しかもサボってるとすぐシングル陥落、厳しいですよ

もうひと月

大相撲の横綱審議委員会では、「もうひと場所様子見ましょう」があるが、アマチュア競技でも20年ぐらい前は普通にあった

ハンディロンダリング

今のハンディで競技に勝てないから、新たにメンバーになり、新人としてまたエントリーする手法。わりとやってる人います


今月のまとめ

「クラブ競技数年限界説」
結局、クラブ競技はハンディが伸び悩み
数年でマンネリ化してしまう。
メンバーがたくさんいるのに
競技参加者が少ない理由はそこ。
過去にみんな一度は通った道なんですね


教える人/木村和久

ゴルフ歴32年のコラムニスト。ベストスコア75、2001年鶴舞CCキャプテン杯優勝。『89ビジョン』など新しいゴルフの楽しみ方を様々提案する自称「ゴルフ生活評論家」

月刊ゴルフダイジェスト2024年7月号より