【名手の名言】バーナード・ダーウィン「ゴルフほどプレーヤーの性格が露わになるものはない」
レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、進化論学者チャールズ・ダーウィンの孫で自身も卓越したアマチュアゴルファーだった英国のエッセイスト、バーナード・ダーウィンの言葉を2つご紹介!
ゴルフほどプレーヤーの性格が
露わになるものはない。
しかもゴルフでは、それが
「最悪」と「最善」の形で表れる
バーナード・ダーウィン
いうまでもなく、バーナード・ダーウィンは進化論のチャールズ・ダーウィンの孫。ケンブリッジ大学を出て弁護士となったが、ゴルフにとりつかれ、ゴルフ評論家となった変わり種。これは進化したのか、退化したのか。
エッセイストとして成功し勲章まで受けたが、ゴルフの腕前もたしかで、1934年にはロイヤル・アンド・エンシェントGCでキャプテンに推挙されている。
この言葉は自身の著『気質論』のなかに出てくる一節だ。
ゴルフほど、人間を赤裸々にするものはないというのである。これは賭け事でもそうだが、普段は柔和で温厚に見える紳士が、ひとたびプレーをすると癇癪を起こしたり、一見、豪放磊落(ごうほうらいらく)に見える人が、ショートパットを外すとくよくよしたり、案外小心だったりする。
正直者に見える人がスコアをごまかすこともある。これが知れ渡ると社会的地位と名誉を失うことにもなりかねないからご注意を!
ゴルフはことほど左様に、人間の“ほんとうの自分”をさらけだすのだから、怖い。
短いパットを外した選手を
嘲笑する記事は間違っている。
パットは遠くから見ている者が
思うより実際は長いものだ
バーナード・ダーウィン
代々学者の家系であるダーウィン家であるが、バーナード・ダーウィンはケンブリッジ大で法律を学び、卒業後は弁護士として活躍する。
そんなあるとき、ダーウィンの元に権威ある夕刊紙からゴルフ随筆の話が飛び込み、そこから水を得た魚のように、ゴルフにまつわるエッセイ、コラムの名文を矢継ぎ早に湧出させていく。
しかもダーウィンが単なる評論家ではなく、自身も「プレーヤー」であったことが、エッセイストとして唯一無二の存在たらしめている。
競技者としては、1921年の全米アマで、なんと準決勝まで進んでいるほどだ。
ダーウィンはたいていの試合に観戦記を書いているが、この年は自身が大会に出ながら、観戦記も書くという離れ業を演じているわけだ。
そんなバックボーンを知ると、冒頭の言葉もなお重みをなすことがお分かりいただけるだろう。
ゴルフでのエスプリ、警句、みごとなエッセイを1908年から「タイムズ」ゴルフ記者として、週1回、45年間、退職後も85歳で亡くなるまで、「カントリー・ライフ」に書き続けた。
ある人は「ゴルフの進化論に果たした役割は、祖父に比べて遜色ないものだ」と記している。ゴルフの記事を書く者にとって、冒頭の言葉は胸に噛みしめなくてはならないだろう。
■バーナード・ダーウィン(1876~1961年)
「種の起源」で有名な進化論学者チャールズ・ダーウィンの孫。英国では6人の最高のエッセイストの1人とされる。ケンブリッジ大学法律学部卒業後、弁護士に。卓越したアマチュアゴルファーでもあり、全英アマ準決勝に進むこと2回。1923年に始まったウォーカーカップでは英国チームの主将も務めている。エッセイストとしてのスタートは1907年「イブニングスタンダード」に週1回のコラムを依頼されてから。以後「カントリー・ライフ」「タイムズ」「サンデー・タイムズ」と次々に執筆。生涯に著したコラム、エッセイが3000本、著書37冊、序文66冊。ゴルフ進化論に果たした役割は祖父に比して遜色ないと評される。
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