【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.173「ゴルフが好きな人は、いくつになっても諦めていません」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Hiroshi Yatabe
プロでもそうですが、アマチュアの人のなかには、昔はここまで飛んでいたとか、昔はあのパー5で2オンしたんやとか、そんなこと話しとるオッちゃんいっぱいおります。それで今はどうなんですか言うたら、3回かかっても乗りまへん、そうなったらゴルフも面白くないですわと、諦めたようなことを言う人が多くいます。
でも、年がいっててもむちゃくちゃ元気な人もいますよね。そういう人は自分のペースを持ってゴルフを楽しんでおられます。
86歳で、ドライバーなんか僕のすぐ近くまで飛ぶ人がおるんですよ。86歳です。信じられないでしょう。
もちろん、若い頃は多くのタイトルを取っているような人ですけれどね。初めて一緒に回ったのが83歳の時で、それ以降も年に1、2回、回るんですけれど、いまだによう飛びます。
その人はスキーもされていて、その映像も見させてもらいましたが、とても83歳とは思えない滑りっぷりで、カッコよかったですわ。
スキーは足腰の鍛錬のためで、ゴルフのためにやっているんですと言うてました。それで、スキー場にもクラブを1本持っていって素振りをしていると。要するに、好きなんです。飛ばなくなったからゴルフが面白くなくなったという人は、見習ってほしいですね。
50歳からゴルフを始めて、8年くらいは200ヤードくらいしか飛ばなかった人が、4年前に飛距離が250ヤードになったという例もあるんですから、諦めてはいけません。
その人とは年に1度しか回らないのですが、初めて一緒に回ったラウンドで「ゆるく握って、ちょっと横に振ってください」ということだけを僕は教えたんです。
それを長年守っていたみたいやけど、ある年に「もうちょっと飛ばしたい」いうんで、今まで軽く持っていたのを「ギンギンに持って、イチ、ニーで振ってください」言うたら、すぐに50ヤード伸びたんです。
軽くゆるく持ちすぎていたんがちょうどよくなったんでしょうね。当たらないことも多いですが、バチッと当たったらキャリーで250ヤードは行っています。一緒にラウンドして僕も何回か負けましたから。
「ゴルフが好き、と思うんやったら、諦めたらあきまへん!」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2024年4月16日号より