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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.807「生まれて初めてチケットを購入して試合観戦。なんだかワクワクしました」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

前回のお話はこちら


国内女子プロツアーが開幕して、昨年活躍していた選手が海外でプレーするなど盛り上がりを心配する声もありますが、岡本さんは今年のツアーのどんなところに注目していらっしゃいますか?(匿名希望・55歳・HC9)


先日、わたしが人生で初めて体験したことをご報告します。

開幕戦のダイキンオーキッドレディスの入場券をコンビニで購入したのですが、コンビニでチケットを購入したのは生まれて初めてのことでした。

というのも、わたしがビックカメラのソフトボール部と以前から親交があることはご存じの方もいらっしゃるかと思います。

チームは2~3月の時期、例年、沖縄・北谷でキャンプを張っているのですが、スケジュールの話をしているとき、オフの日に開幕戦のダイキンオーキッドがあるからみんなで観戦に行こうという話になりました。

その流れから、ビックカメラのチームのオフに、気持ちを切り替えるためにみんなで観戦が実現したのです。

約20名ほどの選手や関係者とのトーナメント観戦は、なんだか修学旅行みたいな感じでした(笑)。

若いソフトボール選手たちにしてみれば、初めてのゴルフ観戦。


スマホでの撮影禁止や大きな声を出さないなど、観戦マナーに初めは面食らうなどしていましたが楽しんでくれてよかったです。

わたしが観戦したのは初日だけでしたが、トーナメントで戦う選手たちの表情をギャラリーの方と同じ目線で観察できたのは収穫でした。

試合会場の琉球ゴルフクラブは、1988年に初回大会が開催されて以来ずっと同じなのでコースは頭に入っています。

あそこに行くとピンには寄らないとか、ここならベスポジとか先が読めるので、客観的に見られて楽しい部分もありました。

なるべくロープの近くには寄らないように歩いたけど、選手たちのほうがこっちを気にしていたかもしれませんね(笑)。

今回、改めてダイキンオーキッドレディスというトーナメントが沖縄の地で深く定着していることを感じさせられました。

今年で37回目を迎えたツアー開幕戦であるこの大会は、春を告げる大会としてもこの町の晴れやかなお祭りのように愛され親しまれていました。

そのお祭りムードを盛り上げる工夫など地域と一体になった主催者の姿勢がゴルフトーナメントを町の名物イベントにまで成長させてきたのだと思います。

歴史あるトーナメントはほかにもありますが、創設以来同じ場所に根付いて心躍る空気を感じさせてくれる大会は少ないと思います。

ゴルフの上達もそうですが、トーナメントやゴルフ文化も同じで継続は力なりということですね。

開幕に意気込む選手たちを目にして思ったのは、オフの間に体作りをしっかりと時間をかけて準備してきている選手もいたということです。

毎週ツアーで戦っていくなかで、若い選手を中心に筋力強化のやり方が徐々に浸透してきているようです。

科学的トレーニングの導入がされてきて数十年が経過しましたが、そのなかで筋トレによるウェイトばかりに夢中になり、クラブを振ることを忘れてしまう選手が多々見られました。

そのため、ゴルフスウィングに逆効果の筋肉を付けてしまい、スウィングを壊すなんていう本末転倒も実際に見られましたが、近年になってようやく正しい方法で定着してきつつあるのではないかと、今年の開幕戦を観戦して選手たちを見ていてなんとなくですが感じました。

ちなみに、最近わたしは、いま自分が置かれている状況などを正確に把握しておくことが何よりも重要ではないかと思うことが多いです。

時代の変化が早い現代において、プロゴルファーやアスリートに限らず、単なる位置情報ではない「人間GPS」を備えておかないと、時代の潮流に取り残される気がします。

ですから、常に臨機応変に対応する力や人の話を聞き入れ工夫することを怠らず、日々の努力を絶やすことなく慌てず、しかし急いで進んでいくことが求められる時代なのではと思います。

「チケットを購入して観戦したトーナメントは、なんだか気持ちがワクワクしました(笑)」

週刊ゴルフダイジェスト2024年4月2日号より

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