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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.806「体調を整えて試合に臨むことは、プロとして大切な心構えです」

KEYWORD 岡本綾子

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

前回のお話はこちら


最近はまたインフルエンザが流行っているらしく、職場の同僚にも感染者が出ています。コロナ禍で試合中止が続いたのもまだ記憶に新しいですが、感染防止のため、プロはどのように気を使っているのでしょうか。(匿名希望・HC12)


この数年間、猛威を振るった新型コロナ感染症の嵐をどうにかくぐり抜けてきたわたしも実は……(泣)。

感染したのはどうやらバレンタインデーの前日か当日だったようです。

帰宅してどうも腰が痛くて寝つけない夜を過ごした翌朝、熱っぽいので病院で診察を受けたところ陽性と診断されました。

発熱外来を受け付けている病院を探したのですが、近所では耳鼻科の医院しかなかったので予約を取って、小さな部屋で検査を受け、待つこと10分足らずで結果が出ました。

今の検査は時間もかからず進化しているのですね。

コロナは流行し出してちょうど4年、今になって感染したのですが、幸いにしてそれほど重篤な症状もなく、発熱も37度台を行ったり来たりでノドの痛みもありませんでした。

そんなとき、何もしないでじっと安静にしていると、むちゃをしていた若い頃のことが、じんわりと思い出されてきました。

37度少々の熱でおとなしく寝ている? 当時は考えられなかったですね。


熱があっても平気でプレーしていたし、頭がフラフラになりもうろうとしながら試合に出て優勝したこともありました。

忘れられないのは、まだアメリカでプレーする前の1980年だったでしょうか。

そのとき、わたしは風邪をひいていて高熱のため目を動かすだけでも頭痛がするといった状態でした。

あと5ホール、あと3ホールとプレーを続けるのが精いっぱい。

2日目までの貯金を守るわたしは、最終組で一緒に回った樋口久子さんに2打差まで追い上げられましたが、ヨロヨロしながら何とか逃げ切って勝ったことを覚えています。

プレー中だったと思いますが、樋口さんに「ダラダラせずピリッとプレーしなさい!」と言われた記憶があります。

でも、体調不良とは言えませんし、普段と違ってフラフラしていたように感じたのかもしれませんね。

当時は、ちょっと熱があるくらいで試合を休んでどうする、お客さんの前できちんとプレーして見せることがプロとしての責任という時代。

無理を押してでも出場しないと、多くの関係者のみなさんに迷惑をかけてしまう─そういう思いから言えなかったのだと思います。

今から思えば熱があるのに何でプレーしていたのか不思議な気もしますが、体調不良であれエントリーしていた試合に欠場することで周囲に影響を及ぼすことのほうが問題は大きいと、その時代は世間も自分も考える風潮にありました。

あと病気で思い出すのは、わたしがまだプロ2年目の駆け出しだった頃です。

わたしは、重いキャディバッグをひいひい言いながら抱え、飛行機と新幹線を乗り継いで当時住んでいた兵庫県の相生まで帰ってきました。

休み明けの火曜日に、当時ゴルフ場に勤務していたため出勤したのですが、朝からどうも頭が重い。

測ってみると熱があるので支配人に申し出て早退させてもらい、病院に寄ってから帰宅。

すぐに横になったところ夕方すごい寝汗で目が覚めて、鏡を見てギョッとしました。

顔から胸、手から足の先まで全身に赤い発疹が……。

その春に大流行していた風疹でした。

すぐにゴルフ場へ電話で連絡したわたしは、まずはご飯を炊いて闘病の準備です。

じっと寝ていてもどんどん熱が上昇していくのがわかるほど、それから3日間はトイレに行きたくても立てない、四つんばいで行くような状態の1週間でした。

おそらく、一時は40度を超える熱があったと思うのですが、なぜか誰の世話にもならないぞっていうよくわからない変な意地を張っていたのかもしれません(笑)。

そんな若い頃のことがウソのよう。

今は少しでも体に異常を感じるとお医者さんに診てもらうよう心がけています。

コロナが今もまだ終わったわけではないことを身をもってわかったので、みなさんくれぐれも気を付けてお過ごしくださいますように。

「プロである以上、なるべく病にかからないよう常に意識を高く持つことは必要最低限のことです」

週刊ゴルフダイジェスト2024年3月26日号より

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