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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.803「自分で選択して、決断する楽しさを感じてほしいです」

KEYWORD 岡本綾子

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

前回のお話はこちら


大学のゴルフ部に所属する3年生です。いまプロを目指すか普通の就職をするかで悩んでいます。自分としては多分、就職の方向へ進むことになると思ってはいます。でも逆に、夢がないまま進路を決めてもいいものなのでしょうか。(匿名希望・21歳)


いまの就職活動がどれだけ厳しいのか分かりませんが、大変なものだとはお察しします。

ただ、就職にせよ、プロゴルファーになる夢にせよ、自分でこれと決めた目標を持たない限り、どんながんばりも利かないと思います。

大きな夢があるから、その夢を実現するにはどうすればいいか針路を設定し、計画を立て、いま取り組むべき課題に向かって毎日の過ごし方が決まってくる。

身近な目標もはるかな夢から生まれるのです。

あなたは、夢がないまま進路を決めることに疑問を感じているようですが、それはゴルフを続けたいことが夢だからでしょうか?

ほんとうはゴルフの夢を追いたいけど、現実的じゃないと自分でブレーキをかけ、夢ではない就職の道を選ぼうとしているということでしょうか。

そこは分かりませんが、大学生活も終盤を迎えようという前に、自分のしたいことが見えない、分からないということに気が付いて戸惑い、焦りを感じている、そんな状態ですかね。

確かに、そういう時期は誰にでもあると思います。


悩んだり迷ったり、考え込んだりするのは仕方ないですが、結局は自分の人生は自分で切り開いていくしかありません。

今の状態で進路について相談する相手がいるとすれば、わたしではなくあなたのすぐそばにいてあなたのことを分かってくれている親しい人です。

大学を出てどこかの会社に勤めたとしても、言われるままに仕事をこなすだけで、やりたいことに取り組めるわけではないかもしれません。

入社して数年経って「この道を選んで、この会社に入ってほんとうに良かった」と心から言える人はどれくらいいるかしら。

わたしは、子どものころに始めたソフトボールに打ち込んできた道が、たまたまプロゴルファーになるという自然な流れに繋がっただけで、ゴルフが天職だったなんて思ってはいません。

人生は目の前に現れる場面場面で心の赴くまま、最良と信じる道を選び取って進んでいくようなもの。
それは、コース上で出合うさまざまなシチュエーションに対して、その都度プレーヤー自身が判断と選択を下しながら進んでいくプロセスと同じだと思います。

ただ、人生は一度きりです。

後から振り返って、それぞれの岐路での別の道を試してみることができないのですから、人は迷うのでしょうし迷って当たり前と言えるわけです。

そう言われると、ささいな選択にも臆病になっちゃいそうですが、いつまでもグズグズして言るわけにもいきません。

幸運は向こうからやって来ませんし、優柔不断では良い結果を生みません。

では、自分のチャンスをどう選び、人生をどう歩いていけばいいのか──何を選べばいいかは指示できませんが、どう考えるべきなのかはアドバイスできるかな。

それは、自分の判断を下す前には、世の中をよく見てさまざまな選択肢があることを知り、じっくりと比較してみることでしょうね。

あなたはゴルフ部で、公式戦にも出ているでしょうから、人との比較はできているはず。

そうしたデータをもとに、自分の設計図を描いていけばいいのです。

ご両親をはじめ、信頼のおける友人たちから複数の意見を聞くことも大切です。

ちなみに、いまの時代だとAIがありますが、AIならどんなアドバイスをするのでしょうかね。

とにもかくにも、自分の夢を抱いて目標を立てるには、まず自分が自立して、自分を律している必要があると思いますよ。

「答えは誰もわからないけれど、目の前のことに全力で取り組めば、答えは自然と出てくると思います」

週刊ゴルフダイジェスト2024年2月27日・3月5日合併号より

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