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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.165「レッスンの難しさ」

KEYWORD 奥田靖己

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Tsukasa Kobayashi

前回のお話はこちら

これまで何度も話したことですが、僕は42、43歳くらいのときに腰が痛くてもうプレーはできないなと思った時期がありまして。そのときに今後の人生、どうやって食べていこうか思って、まず考えたんがレッスンですわ。違う商売やろうとなればイチから始めないけないけど、ゴルフはそれなりにわかってますからね。

それでレッスンを40代後半にやったことがあるんですよ。1日1時間のマンツーマンを、7人で7時間やったんですけどね。どんどん頭、痛なってきてね。2~3カ月でくじけそうになって、これは無理や思いました。


元来、自分が一生懸命になるタイプやから、絶対にこの人をよくしようと思って一生懸命にやるわけです。早う上手なってほしいですから。ただ、お客さんのなかには「ちょっとプロ、少し休ませてもらえますか」という人がおるわけです。

確かに、習字でもそろばんでも習い事は一足飛びに上達はしませんしね。ゴルフのレッスンも習い事ですから、そろばん塾に行って、いきなり初段取ったいうやつはおらんのと一緒でね、やっぱりちょっと時間をかけんと上手くはならんもんです。

それはわかっているけど、ことゴルフになると、俺についてくるならとことんやるけど一生懸命やらんお客さんは教えない。サークル活動的なことはようしませんということになってしまう。なので、レッスンでやっていくのは無理や思いました。

ツアーに出んようになったプロが、ゴルフと全く関係ない居酒屋とかラーメン屋を始めることもありました。僕は体の整体をやろう思って専門学校も調べたりしましたけどね。学生のときにちょっと柔道をやっていたから、柔道整復師の免許のことを調べたりもしました。あとは当時流行った酸素カプセルのサロンに何人くらい入ってんのやろうと思って昼間にずっと見てたこともあったしね。

でもそれが50歳から腰痛も少し緩和して、シニアツアーにうまく出られるようになりまして。今も腰は腰椎の4番と5番は引っ付いているので無理はできないんですけど、なんとか生きてこられてます。まあ、それは皆さんと一緒ですわ。

「絶対にこの人をよくしよう、早う上手くなってほしいと思って一生懸命にやるんが、スパルタになるんですわ」

奥田靖己

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2024年2月13日号より