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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.798「試すことでいまの状況を客観的に理解できるので、積極的にトライですよ!」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

前回のお話はこちら


スライスを直すためにグリップやクラブを替えようか迷っているのですが、夫からは「スウィングを直せ」と言われます。スウィングが先かクラブが先か、どう考えるべきでしょうか。(匿名希望・35歳・ベストスコア94)


ゴルフはクラブを握ってスウィングをする体あっての話です。

ですから、わたしはスウィングが先というより、スウィングにクラブが後から付いてくる、と考えています。

ゴルフに限らずスポーツの基本や土台は、あくまで自分自身の体です。

クラブはあなたのゴルフを支える助けになってくれることはあっても、向こうから上達へ導いてくれることはないことを心得ておくべきだと思います。

ただ、調子を崩したり、思うような結果が出ないことが続いているゴルファーに対して、やみくもに練習を繰り返すだけでなく、クラブが自分に合っているかどうかをチェックしてみることはわたしもお勧めしてきました。

ある程度自分のスウィングを身に付け、安定したプレーをしていたゴルファーには、何らかの理由でスウィングに微妙な変化が起こった場合、無理してフォームに矯正を加えるよりも、今の動きにかなったギアになるよう、クラブを調整したほうが負担が少ないと思うからです。

しかしそこばかりにフォーカスしてしまうと、正直、練習を忘れて、新兵器のみに目を奪われることもあるかもしれませんね。

もちろん、クラブやボールといったギアは時代とともに進化を重ね、その可能性を拡大してきました。


時代に応じてさまざまなクラブが開発されてきたことが、ゴルフの普及、振興に大きく貢献してきたのも間違いありません。

その研究は、よりゴルフを楽しく、より高度なものへと導くものであるとわたしは思うのです。

クラブは困ったゴルファーの願いをかなえる“魔法のつえ”ではなく、“頼りになる相棒”であるはずではないかと。

このようなお話をして思い出すのは、わたしがアメリカでプレーし始めた1980年代、ある日の練習場でツアー仲間同士が、お互いのクラブを打ち比べている風景です。

あるプロが友人プロのクラブを借りて打ってみたとき「アメージング!」などと言いながら笑顔でとても楽しげに打っていた姿でした。

プロにとって飛距離の差は何にも勝る魅力であるのは確かですよね。

といっても、そこでもっとも重要なのはクラブが自分に合っているかどうかという点です。

メーカーには長年の研究で蓄積されてきたスペックごとのデータがありますから、それをクラブとゴルファーとの相性診断にこそ参考にしたいもの。

ですから、クラブ選びはゴルファー個々のスウィングに寄り添って存在するものと考えるのがいいのではと思います。

あなたにアドバイスしたいのは、地道に練習を重ねながら、自分のスウィングに最適なクラブと出合う瞬間を逃さないということです。

焦って探さなくても必ず見つかります。

わたしの長い経験から言っても、慌てる必要はないと思いますよ。

でもチャンスは見逃さないように、です。

そのためには、気になったクラブはまずは振ってみる習慣は付けたほうがいいと思います。

自分のクラブもとてもいいと思いますが、感覚を変えることで自分のクラブの違いや個性にも気が付く
ことがあるかもしれないからです。

「さあ新年、三が日が過ぎたら始めよう」

それではいつまでたっても始まらないこともわたしは経験上よく知ってます(笑)。

今年から始めるなら今すぐ!

思い立ったら始めましょう。

「新しいモノやコトにチャレンジするのは、良いことしかありません!」

週刊ゴルフダイジェスト2024年1月23日号より

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