【ゴルフせんとや生まれけむ】笘篠賢治<後編>「ゴルフは教育にもうってつけです」
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、前回に引き続き、元プロ野球選手の笘篠賢治氏。
元プロ野球選手で引退してから競技ゴルフに挑戦する人もいますが、自分はそんなつもりはまったくありません。和気あいあいと楽しむエンジョイゴルフです。なのでゴルフクラブも新製品にはまったく興味がなく、自分が気に入ったクラブをずっと使い続けています。
SWとPWは90年代前半に兄貴(元プロ野球選手の笘篠誠治)にもらったJʼsのアイアンセットから抜いた2本です。兄貴が新しいアイアンセットを買ったので古いセット一式をくれたのですが、アイアンは芯に当たらないと全然飛ばないので使いこなせませんでした。ところがSWとPWはバッチリ合いました。52度のウェッジもヤクルト時代にウイルソンのクラブをもらったのがしっくりきて、いまだに使っています。「なかなか年季の入ったクラブですね」とキャディさんに言われますが、「いいでしょ!」と答えています。
古いクラブを使っていても、調子が良ければそれなりのスコアが出ることもあります。ベストスコアは5年前に出した73です。この年は調子が良くて、73が2回出ました。ところが3年前に体調を崩し、入院してしまって。その年は年間3~4回しかラウンドできませんでした。そうしたら体力が落ちて飛距離が全然出なくなりました。それを境に70台どころか80台も出なくなってきたので、今は回復に向けて頑張っているところです。
今後のゴルフの目標は、できるだけ長くプレーすることです。実はゴルフが大好きだった親父が5年前に体調を崩し、80歳の手前でゴルフをスパッとやめてしまいました。歳を取ると体力が落ちたり、車の運転に不安が出てきたり、諸問題があってゴルフが続けられなくなります。自分もいつまでゴルフができるかわからないので、なるべく健康を維持してゴルフを楽しみたいですね。
ゴルフを長く続けたいのにはもう一つ理由があります。これを言ったら子どもたちにプレッシャーをかけてしまうかもしれませんが、おじいちゃんになったとき孫が一緒に回ってくれたらうれしいだろうなと思っているのです。ボクには息子が3人いるのですが、子どもたちが生まれたとき、将来ボクの親父と一緒にゴルフをしてほしいというのが夢でした。その夢は長男と次男で実現しました。三男は残念ながら親父が体調を崩してゴルフをやめてしまったので実現しませんでした。ボクが親父からゴルフを通じていろんな教育を受けたので、ボクも同じようにゴルフを通じて子どもたちを教育しました。
たとえば練習場に行ったとき、子どもたちはおしゃべりしたくなりますが、周りで練習している人たちがいるから静かにしなきゃいけないじゃないですか。受付に札を返すときも、ただポンと置くのではなく、ちゃんと「ありがとうございました」と言って返すんだぞとか、そういうことを教えるのにうってつけなのです。真ん中の息子が結婚しているので、もし孫が生まれたらゴルフをしてもらえるとうれしいですね。
笘篠賢治
とましの・けんじ。1966年生まれ、大阪府出身。88年ドラフト3位でヤクルトに入団。1年目から俊足を生かして32盗塁を記録し、新人王。2年目以降は内外野を守れるユーティリティプレーヤーとして存在感を発揮。98年広島に移籍。99年現役引退。引退後は野球解説者として活躍。
週刊ゴルフダイジェスト2023年11月14日号より