米大統領の気分転換はパタ練? ホワイトハウスにあるグリーンの話
「バイデン大統領」の呼び名もすっかり定着したこのごろ。ホワイトハウスのゴルフ事情の話題をひとつ。
「自宅の庭にグリーンを作った」という話はたまに聞くが「オフィスにコース設計家がデザインした本格的なグリーンがある」と言えるのは、アメリカ大統領くらいなのかもしれない。世界で一番ストレスがたまる(?)仕事柄、気分転換や頭の切り替えにパッティング練習がぴったりなのかもしれない。
ホワイトハウスに初めてグリーンを造ったのは第34代のD・アイゼンハワー大統領。気分転換というより、ゴルフにハマって上手くなりたい一心でロバート・トレント・ジョーンズに依頼して、自身がメンバーだったオーガスタナショナルなどをモデルにして造らせたという。ショートゲームの練習には、キャンプデービッドに大統領専用のパー3ホールを造らせている。その効果もあってか、アイゼンハワーは大統領時代にHCが18から14になったという。
R・ニクソン時代にはいったん、このグリーンは潰されたが、B・クリントンがジョーンズの息子のトレント・ジョーンズJr.に依頼して、執務室からわずか20歩の距離にグリーンを復活させた。以前のグリーンには横にバンカーがあったが、HC13~14のクリントンの腕前に疑問を持ったシークレットサービスが、ホワイトハウスの窓に打ち込むのを恐れグリーンだけにしたという。
ほかにも面白いエピソードが。ジョージ・ブッシュJr.の時代、ジョーンズJr.が大統領とこのグリーンで練習したことがあったのだが、ジョーンズJr.がカップに入ったボールを取ろうとした時「やめろ」の大統領命令。もちろんジョーンズJr.はストップ。そこに大統領の愛犬スコティッシュテリアの「バニー」が現れ、ホールに鼻を突っこんで見事ボールを取り出したとか。このグリーンではB・オバマ、当時副大統領だったバイデンのプレーも目撃されているが、最近では、唯一、D・トランプのプレーは目撃されていない。もしかしてストレスがなかったから!?
週刊ゴルフダイジェスト2021年3月16日号より