【大人ゴルフの歩き方】Vol.30 雨のゴルフはやらないのよ~
スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。
ILLUST/Shinichi Hoshi
第30講 雨のゴルフはやらないのよ~
①雨のゴルフはただつらいだけです
②ゴルフはしょせんレジャーです
雨の日はゴルフをしない風潮に
雨の日は、もちろんゴルフはやりたくありません。けれどコンペの場合は賞品をすでにコースに運んでるし、バラして別の日に日程を移す、スケジュール調整などのダンドリが難しい。結果中止になると、その年のコンペはお流れになります。
今年、雨予報でコンペがあり、1時間あたりの降雨量1ミリの壁で、当日の朝まで判断が引き延ばされました。前日は1ミリ予報で、しかも曇りマークも付き、やがて雨が止むのかなと。けど当日の朝、2ミリ予報で、ざんざん降りでした。こりゃかなわんということで中止になったのです。
開催日朝のキャンセルは珍しいです。それは天気予報の精度が高く、前日におおよそわかるからです。大手のゴルフチェーンの空き状況を確認すると、翌日雨の場合、予約率1割程度、つまり9割はキャンセルでした。
今は雨の日にゴルフをしない風潮です。コンペが中止だった日トーナメントも中止でした。プロすらやめる天気で、なぜアマチュアがやるか。雨のゴルフはできるできないの問題ではなくて、楽しいか楽しくないか、風邪をひかないか。主催者はそっちに気を使うべきです。
●ダンドリ
キャンセルするとゴルフ宅配便を戻したり、賞品を送り返したり、キャンセルフィーを払うことも。全部幹事の仕事、大変です
●1ミリの壁
長い経験上、雨量が1時間1ミリを超えるとゴルフはしんどいです。特に前日から降っていると、フェアウェイは水びたしで、グリーンも転がりづらくなる
●トーナメントも中止
プロの試合をやめるってよっぽどです。中断は聞きますが、今年は線状降水帯が発生し、丸1日以上降り続く雨が多かったからですね
●できる
いくらゴルフが可能でも、全身びしょ濡れで、フェアウェイは小川状態、メガネは曇るわ、グリップは滑るわ、風邪ひきそうだわ。これをわざわざ丸1日空けて、1万円ぐらい払って、何が楽しいのか?
なぜ雨でもゴルフをするのか?
ではなぜゴルフは雨でもプレーをするのでしょうか。しかもおやじ世代は、雨でゴルフをやめるなんて、お前はそれでもゴルファーか、ゴルフをやる資格がないと怒鳴りますからね。
昔気質の人は、クローズじゃないんだからとりあえずコースまで来いよ、ハーフぐらいできるさと言います。行ってみるとゴルフは中止になり、このまま解散も寂しいと、近くの練習場で打ってから、健康ランドで宴会をやり……って、そのために1日空けたわけじゃないっちゅ~の。
ではなぜ雨の日にゴルフをやるのか? チコちゃん風に答えると英国生まれだから~。いいですか、近代サッカーやラグビー、競馬は英国生まれだから雨でもやるんですよ~。英国は雨が多いから、雨で休んでいては、ゲームが進まないというわけです。
果たして雨が多いから当たり前と考えて良いのでしょうか。東京の年間降雨量は1500ミリ強なのに対し、ロンドンは600ミリ台ですから、東京のほうがはるかに雨が多いのです。
それでは英国は雨が多い、雨中でもスポーツやる説はいかにして生まれたのでしょうか。それはバーバリーなどに代表されるコートが教えてくれます。つまり日本ほど激しい雨が降らないから、帽子をかぶって外套を羽織れば傘を差さずに手ぶらで行動できると。それぐらいの気候だからこそ、雨のゴルフはやるのです。
なのに英国の倍以上の降雨量の日本で、英国は雨でもやるのが紳士のたしなみと解釈し、雨ゴルフをパワハラ並みに強いるっておかしいですね。これこそ文化・風習の大いなる誤解です。途中から雨ならまだしも、前日に雨が降り続くとわかったら勇気ある決断をすべきです。あとね大手は雨のキャンセル無料ですが、古い頑固なコースは理由を問わずキャンセル料徴収のところも。なんだかな~ですよね。
●ゴルフをやる資格
ゴルフをやるのに資格はいりませんがな。昔は雨で休む自分が軟弱と思ってました。昭和ゴルフおやじの洗脳は怖いなあ
●とりあえずコースまで
これってジャイアンが原っぱにのび太を呼び出すのと一緒じゃん。どうせやらないなら、最初から解散にしてほしい
●英国生まれだから~
ゴルフは昔、英国伝来でしたが、乗用カート、セルフプレー、短パン、ノージャケットはアメリカンですよ~。今はアメリカの影響が強い
●外套を羽織れば
傘は当時フランスから流行り、英国人気質としては、そんな飾りもどきは邪魔だ、質実剛健の外套でいいという雰囲気だったとか
●キャンセル料徴収
キャンセル料はコースとの信頼関係。取るといってもメンバーなら、今度行くからと言われれば、取れない。キャンセルの売り上げ減を最初から計算したビジネスモデルを考えないと
今月のまとめ
ゴルフは晴天でするものなり。
雨なら前日キャンセルし、
その日を有効に別なことに使えばいい。
時は金なりなんですから
教える人/木村和久
ゴルフ歴32年のコラムニスト。ベストスコア75、2001年鶴舞CCキャプテン杯優勝。『89ビジョン』など新しいゴルフの楽しみ方を様々提案する自称「ゴルフ生活評論家」
月刊ゴルフダイジェスト2023年9月号より
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