【ゴルフせんとや生まれけむ】斉藤祐也<前編>「バーディ2つ、パー7つ。なのにスコアはなぜか100?」
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、 元ラグビー選手の斉藤祐也氏。
学生の頃からゴルフには興味があって一度やってみたいと思っていたんです。でも、現役中はラグビー一筋で、プレーのチャンスは全くなし。2012年に引退して、やっとクラブを握るようになりました。ただ、最初の頃は年に2、3回ラウンドする程度で、スコアも120くらい。それが3年ほど前、コロナの流行が始まりスポーツ関係の活動や仕事ができず時間に余裕ができたとき、いろいろな人から誘っていただいて週2回のペースで行くようになりました。そこから一気にハマってしまいました(笑)。
2度目の初ラウンドと言ってもいいくらい久しぶりのラウンドでは、スコアが100ちょうど。でもバーディを2つ、パーを7つも取っているんです。おかしいでしょう? お察しのとおり、とんでもない大叩きをしたホールがあり帳尻を合わせたということなんですよ(笑)。やっぱりグリーン周りは経験がないと行ったり来たりをやっちゃいますからね。この頃から、というか今でもなんですけど、僕のゴルフは感覚だけを頼りにやっているようなところがあります。
真剣にゴルフに取り組んで、練習も欠かさないという方には怒られてしまうかもしれませんが、僕は練習しない主義なんです。ラグビーを引退してゴルフを始めたときも、いきなりコースに出ました。それで、ラウンド中に自分なりの課題を見つけたら、それをそのときや次のラウンド中に修正するという自分なりのスタイルを貫いています。若手のプロと一緒に回る機会があったときにワンポイント的に教えてもらったことはありましたが、レッスンは受けたことがありません。
そもそもラグビーの選手はゴルフには向いていないと言われているんです(笑)。というのも、ラグビーは人とコンタクトする、当たることが欠かせないスポーツじゃないですか。そして、コンタクトする際は力を入れるのが当たり前。しかも僕は人と当たるのが仕事のフォワードというポジション。ゴルフでもここぞというとき、たとえばティーショットを打つときなど、どうしても力が入っちゃうんですよ。それに、ラガーマンは試合が始まってひとたびスイッチが入ったらノーサイドを迎えるまでスイッチオフにはできません。でも、ゴルフは違いますよね。場面場面で気持ちを切り替え、力を抜くことができなければスコアはまとまりません。ですから、最近は力を抜くことを意識してプレーしています。
僕はドライバーを持つと、つい余計な力が入ってよくOBを出していました。何しろこの体でしょう、周囲の目もあるので270とか280ヤードくらい飛ばさないと格好がつかないんです(笑)。飛ばそうとするあまり力んじゃって失敗するのがパターンでした。そこで、少し前、ドライバーを使わず5番ウッドでティーショットを打つようにしてみたら、80台が出るようになったんです。それで「ああ、ゴルフは飛距離じゃないんだ」と改めて思いました。最近、またドライバーを持ち始めましたが、以前のように力任せに飛ばそうとしなくなったので大叩きはなくなりましたよ。
斉藤祐也
さいとう・ゆうや。1977年生まれ、東京都出身。東京高校1年からラグビーを始め、2年時に高校日本代表に選出。明大、サントリーなどで活躍。日本代表キャップ14。現在は解説者として活躍。データを駆使した解説が高い支持を得ている
週刊ゴルフダイジェスト2023年6月27日号より