【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.762「突然大叩きしてしまう人は、マネジメントに対する考え方が希薄なのかも」
米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。
TEXT/M.Matsumoto
ハーフ30台を楽に出す腕の立つ友人がいますが、彼はともするとすぐにダボやトリプルを打ってしまいます。我慢しろといっても持続力がないのかまた大叩き。何が足りないのでしょうか。(匿名希望・47歳・HC2)
プロでもダボやトリプルボギーを打つことはあります。
ですが、長年ゴルフをやっている人が安易にダボやトリを連発するとなるとこれは、不注意や集中力の欠如だけが原因ではないような気がします。
スコアをまとめる技術や経験が足りないわけではない。
ショットにはそれなりの安定感があるが、結果としてスコアにはムラがあり良し悪しの幅があり過ぎる。
上手くいけばパープレーに近いラウンドをするかと思えば、ひどい時は100近く叩くこともあり、まるで大波賞のゴルフになってしまう……。
ダボやトリプルになってしまうのは、2打目でグリーンを外して寄らず入らずのボギーというのではなく、OBや池などペナルティの科されるミスをするか、林の中などのトラブルでというようなケースと考えることができます。
そこで想像するに、そのようなミスショットを打ってしまうのは、単にダフったというようなミスではないと思います。
つまり、安易に無造作に打ったときの失敗なのではないでしょうか。
だからこそ、うっかり大叩きしてしまう。
そんなミスが出るとは思いもしてないのですから、余計に同じミスを繰り返してしまうわけです。
ミスをしてしまう心配のある人の多くは慎重にアドレスに入ります。
このライから打ってミスが出るとすれば、ボールはこっちへ出て、この辺りまで転がる。
間違っても危険なゾーンにまで飛んでいくのは避けたい──経験豊富なゴルファーなら、打つ前にそのくらいのことは頭に描くはず。
それがショットマネジメントというものだと思います。
ある程度の腕があるのにもかかわらず、ダボやトリプルを連発する人というのは、このマネジメントが抜けているのではないでしょうか。
あるいは、マネジメントしていたとしても大まかだったり、セカンド地点からグリーンやピンまでの距離と地形だけで自動的に番手を決めているのではないかと疑ってしまいます。
これから打っていく自分のショットに対するイメージが希薄というか、ショットメイク作業が雑なのだと思います。
わたしは思うのですが、このようになってしまうのは、どちらかといえば運動神経に恵まれ、何をやっても上手にこなせるタイプの人が多いかもしれません。
初めてクラブを握った時から、それほど時間がかからず70台で回れるようになったゴルファーの場合、一打一打を正確に打つことを考えなくても自然にできることがあります。
一方、悩み考え練習を積んで体に覚え込ませた動きのプレーヤーとでは、ワンショットの内容が違ってくることがあるかもしれません。
ですから、行ってはいけないところへ打ってしまうのは、ボールを打つ技術にではなく、姿勢や考え方に原因があるといって言い過ぎではないと思います。
何の気なく打ってもボールは真っすぐ飛んでいくと思っている人は、真っすぐ飛ぶには、その飛ぶ理由があるし、同じようにダボやトリプルが出るには、その理由があるのです。
まずは、なぜ上手く打てるのかを考えてみることと、ミスの原因をシミュレーションしてみることが必要かもしれませんね。
そして、最後に簡単にできる少し具体的なアドバイスをさせていただくとすれば、パー5のセカンドショットでグリーンを狙える位置にあるとき、あえてレイアップしてみるのもいいかと思います。
すると、ショットマネジメント、ホールマネジメントを考えることが自然とできてくるので、いつものマネジメントを見直すキッカケになるかもしれませんよ!
「結果には必ず理由があるけど、予期せぬことも起こるのがゴルフの深みなのかもしれませんね」(PHOTO by AYAKO OKAMOTO)
週刊ゴルフダイジェスト2023年4月25日号より
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