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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.751「悩むな、考えろ!」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

前回のお話はこちら


ゴルフを始めてから3年ほどたちましたが、どうしても手元やクラブ全体がグラついてしまい気持ち悪くて振り抜くということができません。一度ゴルフを離れたほうがいいのか? 本当に悩んでいます。(匿名希望・38歳・HC14)


今回は一問一答ということではなく、このページに寄せられる質問状を見て心に浮かんだいくつかの点を振り返ってみたいと思います。

常々感じているのは、ゴルフの練習に取り組んでいる方の多くは、いま自分が直面している課題がどこにあるのか、何が問題になっているかがわかっていないということです。

悩み迷ったり不安になったり、やみくもに体をイジメたりした挙げ句に自分には向いてないと悲観してみたり……。

練習してもうまくいかない、努力しているつもりなのに上達しない、この先に突破口が開けるのか心配にもなる。

気持ちは強くわかります。

同情もしますが、実はそれ「独り善がりの回り道」に迷い込んでいるケースがほとんどです。

練習熱心なのはいいことですが、練習とは正しい体の動きを筋肉に覚えさせるために同じ動きを反復して行うことが基本になっています。

ですが、練習の動きが間違っていたとしたら──。

筋肉の鍛え方そのものは間違ってなくても、目的がズレていたり鍛える箇所が別だったりすればトレーニング効果は望めません。

見よう見まねで練習をして、そのうちに勝手がわかってくる。

ボールが思ったところへ飛ぶようになれば、上手くなりたいと練習に熱も入ってくる。

そのように好転すればいいですが、なかには不幸にしてつまずいてしまうことも少なくない。

実はそれが練習の勘違いです。

わからないなら聞けばいい。

我流で始めた人がある程度ボールを打てるようになってからでも遅きに失することはありません。

本気で上達したいと思った時は、ティーチングプロなりの門を叩くべきということです。

昔はゴルフといえば、教え魔と呼ばれる厄介な人たちがいましたよね。


本人は善意なのでしょうが、初心者を捕まえては、グリップはこうだ構えはこうだと手取り足取り口酸っぱく独り善がりの熱血指導……。

ただ、教え魔の存在は、いまは目にすることがなくなりました。

世代間の関わり方の変化や情報過多によりレッスンはネットやYouTubeで手軽になっているのかもしれません。

加えるならコロナ禍のご時世がこの傾向に輪をかけているのでしょうか。

また、ゴルフ練習場の多くでは、打席を使った個別のレッスン行為を認めておらず、これは近年になって練習場や各種施設に配属されてきたティーチングプロの立場を守るための措置と考えることもできそうです。

教える側の態勢が整ってきたといえそうですが、それは同時に教える側も今まで以上に、教わる人の悩みや発展途上の様子を見極める能力を身に付けておかなければならなくなっていることを意味してもいます。

そういうわたしもプロアマ戦でご一緒するアマチュアの方に即席レッスンを頼まれたりしますが

「いいですよ! でも、アメとムチどちらがよろしいですか?」

なんて冗談で返します(笑)。

人によってはいろいろで、それこそ「ホメられて伸びるタイプ」もいれば、「叱られて力にするタイプ」もいるからです。

要は相性もありますし指導者の選び方というのは難しいものです。

ただ、今は教える側のレベルは確実に向上しています。

一人で悩んでいても明るい将来も問題の解決もありません。

課題がどこにあるのかは、その問題がわかる人に見てもらって指摘してもらうこと、そして頭を抱え込むのではなく解決法を探すこと。

悩むな、考えろ!

ということです。

ムダに悩んでほしくはありません。

わたしは若いころ、上手い人のスウィングや打球を見て、どうすれば打てるようになれるか、ひたすら考えていました。

この球を打ちたい。そのために必要な体の動きを探り出して、いくつかの課題を目標として自分に課して練習する。

そして、目の前の目標をひとつずつクリアしていく。

その点わたしはウサギ年生まれですけどカメに近かったのかなぁ~(笑)。

「前向きに考えるようになると、自分も周りも必ず好転し出しますよ!」
PHOTO by AYAKO OKAMOTO

週刊ゴルフダイジェスト2023年2月7日号より

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